夕食になっても帰らない君を。

昼間とは打って変わって冷えた闇の中。

必死で探し回ったよ。

それでも見つからなくて。

縋るように、天(そら)を仰いだ。

陰背負う僕と違い、君は24時間瞬ける星だったから。

けれど。

昼間、あれだけ快晴だったその日の夜空は。

一つの星も、称えちゃいなかった。

 

〜この手にもう一度24時間瞬ける星を・�供�

 

翌日から三日間、周辺を本当に隅々まで調査して回った。

だがあまりこれといった情報は得られなかった。

ただ―――いなくなったあの日、公園のベンチで誰かと話しているのを見た、と。

手がかりになりそうな情報はそれぐらいのものだった。

休みをまったく取らせてもらえず疲労に悲鳴をあげる体をずるずると引きずって、早朝にベイカー街に戻った。

おかえりなさい、どうでしたとハドソンさんが心配そうな様子で声をかけた。

肩をすくめて手をひらめかせる。

わたしの様子に、そうですか・・・と俯いた。

「 ホームズさん、小包が届いてありましたけど・・・ 」

お部屋に置いておきました、とハドソンさんの控えめな声。

彼女も寝ていないのだろう。目に疲れが出ている。

そうですか、と軽く受け答えをして部屋への階段を上る。

扉を開ければテーブルの上に確かに包みが置いてあった。

包み紙を取り除くとおよそ30×20四方の箱が出てきた。

いつもの癖でそれなりに調べてから。

蓋を、開けた。

「 ―――――――!! 」

 

頭から、血の気が引いていくのが分かった。

喉の奥から、競りあがってくるような嘔吐感。

気持ちが悪い。

気持ちが悪い。

気持ちが。

冷静な頭は、理解を、現実を、拒否。

冷静な/現実を/拒否

拒否、しようと。

 

・・・中から出てきたのは見慣れたコート。

いなくなった日、いなくなった彼が持って出たものだった。

見慣れたそれに。

見慣れない、否、職業柄ある意味とても見慣れたモノが附着していた。

べっとりと張り付いた血痕。

それはコートの大部分を占めるほど、広範囲に亘って広がっていた。

呆然と立ち尽くすその足元に、一枚の紙切れがひらりと落ちた。

『 我が親愛なる好敵手、ホームズ君。

  私からの心ばかりのプレゼントは気に入ってもらえたかね?

  君も私もいつもは仕事に忙しい。

  だが、今は珍しくお互いに暇を弄ばしているようだったから。

  だから、君も本気で楽しめて、私も楽しめるゲームと行こう。

  君の大事な片割れを、君が見つけ出せたら君の勝ち。

  ただ見つけるだけでいいんだ。君に有利な、簡単なゲームだろう?

  ヒントは古い水路のある遺跡。

  ははは、これでは答えを教えているようなものだね。

  それでは君の健闘を祈る。

                                    ――――Prof.M 』

脊髄から脳天にかけて、熱い何かが一気に駆け上がってくる気がした。

手紙をぐしゃりと握りつぶす。

その手は、小刻みに震えていた。

踵を返すと決然と部屋を出る。

今、そこにいるのは疲れた男ではなく。

瞳に絶対零度の怒りを湛えた、一人の探偵だった。

 

 

・・・・・・ 。

頬を撫でる一筋の冷ややかな風にわたしは意識を持ち上げた。

薄暗い空間を、音もなく冷たい風が通り過ぎていくたびに、からからと音を立てて干乾びるんじゃないだろうかと思うほどに。

辺りはひどく乾燥していて、土っぽかった。

わたしは横たわっていた体を動かそうとしたが、体はまるで地面にへばりついてしまったかのようで、ほんの少し身じろぎした程度だった。

その瞬間感じるぬるりとした感触。

痛さよりも襲ってくるだるさに、自分の現状を把握する。

と、突然視界に光が入ったかと思うと、大きなバケツ一杯分はあろうかというほどの水が降ってきた。

到底避けることのできないわたしは諸にその水をかぶった。

その後、誰かが上からわたしを覗き込んでいた。それは逆光で完全にシルエットだったが、「生きてるかぁ?」

などという軽い口調からすると善人ではなさそうだ。

おまけに下っ端っぽい。

自分のそんな考えに、我ながら呆れる。

―――ホームズの性格が移っちゃったのかな?

思わずクスリと笑いを零してしまう。

現状は、決して良いものとは言えないのに。

その下っ端っぽい下っ端は(すでにわたしの中で彼は下っ端と決定されてしまったようだ)、わたしが生きていることを確認すると顔を引っ込めた。そして再び薄暗い闇にわたしは残された。

体が濡れてしまったせいか、先ほどまでは優しく冷ややかだった音無き風にも体が震えてしまう。

――――ここは寒いよ―――ホームズ――――。

彼の人の名前を囁くように唱えて。

震える瞼を、そっと閉じた。

 

 

その日の夕方。

ロンドン郊外のほぼ瓦礫と化した古い都市の遺跡に。

ホームズは足を踏み入れた。

 

 

 

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***あとがき*****

まだ続くんか、これ;

しかもあんのか、そんな遺跡;(知らない・・・夢だし・・・《遠い目》)

もうドリームです。こうなったらみんなで夢見ましょう、夢・・・夢・・・++(エコー)

二日連ちゃんの小説更新って珍しいなーvちょっとうれしい(*^^*)

モリちゃんてば、退屈だからってワトソンさんで遊ばないでください;(いや、この場合ホームズで遊んでるのか?)

なんかもう、冒頭のポエムで砂吐いてしまいそう・・・;

ホームズ、そんなドリーム語ってどうすんのさ(笑)

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