記憶のカケラ〜5〜
誰を探しているんですか?
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相変わらず、俺はあいつを避けたまま。
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相変わらず、あいつは俺を避けたまま。
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仮眠室。
最近、何故か近寄りづらかったそこに足を踏み入れてみれば。
そこには計ったように、グレグズンがいた。
「…よぉ」
「…ああ」
沈黙。
「休みに来たのか?」
「あ、ああ」
「そんじゃ、俺はもう行くわ」
ゆっくりどーぞ、の言葉と共に横をすり抜けようとするグレグズンの腕を思わず。
掴んでいた。
「?――レストレイド?」
不思議そうな顔で振り返るグレグズン。
「あ――、え…いや」
自分で自分のした行動に、なんて理由をつけていいのか分からなくなる。
どうして引き止めたといわれれば。
聞きたくて。
それは俺の首を突っ込む領分じゃないのに。
聞きたい。
聞きたくない?
聞きたい。
それと伴うような、胸の痛みに似た感覚。
「だ――れと」
ああ、こんなことを聞く自分が嫌になるのに。
「…誰と、間違えたんだ?」
グレグズンが僅かに息を呑むような声。
「……聞きたい?」
悲しげに歪んだグレグズンの目に、後悔しそうになるが。だけれど、否定の言葉を先にするより先に。
掴んでいた腕を逆に掴まれて。
そのまま、腕の中に引込まれた。
「ぐれ…ぐずん…?」
「……お前」
「え?」
耳元で言うのは、グレグズンの声。
「お前」
「…お、れ?」
「お前のこと、ずっと探してた」
俺のこと?
どうしてグレグズンが?
「ごめんな。混乱するだろ?」
そんな声で言うな。
どうして。
「大丈夫だ。何も言わないから」
どうしてそんな声で言うんだ。
「――――サヨナラ――――」
言葉と共に体を包んでいた腕が離れていく感覚。
一瞬重なった視線の先、ライトグリーンの目が酷く悲しそうで。
「ぐれぐず―――…」
声をかけるよりも先に、頭の奥に鋭い痛み。
「ッ……」
頭を押さえて、蹲る。
「…ッ、った…」
「レストレイド?どうした」
グレグズンの声が聞こえる。
激しい頭痛。
だけれど、それよりもグレグズンの顔が見たくて。
顔を上げた先で、ぼやけたライトグリーンの目。
「……る…なッ」
泣きたいのに、泣けない子供みたいな顔で。
「…んな…めッ」
そんな顔、するな。
言いたかったのに、それよりも先に。意識が溶けるように消えた。
つづく⇒NEXT