記憶のカケラ〜4〜
足りない、何かが欠けたまま。
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最近のヤード事情。
何故かレストレイドが物凄く俺を避けます。
――以上。
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何をやっているんだ、俺は。
自分の行動を振り返って、思わずそう呟く。
無意識的か、自覚的か。とにかくグレグズンを避けまくっている自分がいる。
…頭痛がしてきた。
「何をやっているんだ、俺は…」
もう一度そう呟く。
ただ、あの日の。
奴の目が。
心に引っ掛かって仕方が無いという。
ただそれだけの理由――。
溜め息を吐きながら、窓に寄りかかった。
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俺なんかしたかねぇ?
いや、今回は本当に何にもしてないんだけど。
いつか前にも似たような状況があったなーと、ぼんやりと思いながら。レストレイドを探して歩く。
気になる云々よりも、今のレストレイドの状態は必ずしも良好ではない。むしろ一年分の記憶が抜け落ちてる分、不安定なのだ。
どこか、ここか。
不安げな顔をして、立ち止まっているレストレイドの顔を見たりするものだから。
構いたくなる。
ああ、いた。
相変わらず窓辺に寄りかかっている後姿に、声をかける。
「レストレイド」
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声をかけられて振り返るとそこにはグレグズンが立っていた。
「…なにかようか?」
「いや、用はないけど?」
へらりとした顔を見せて、グレグズンが俺に言う。
「なぁ」
「なんだ?」
「…俺、お前になんかした?」
その問いかけに、思わず体が強張る。
いや、グレグズンは何もしていない。
何もしてない。
ただ。
ただ、俺が。
「…いや」
たっぷりと沈黙をとってそんな言葉を吐き出せば、ふぅんと気の無い調子でグレグズンが頷く。
「この間…、来たでしょ。仮眠室」
気…づいてたのか。
「俺、寝ぼけてて覚えてないんだけど」
――なんかした?
どう答えればいい?なんて聞けばいい?
俺を誰と間違えた?
聞けるか。
大体、どうして俺がそんなことを聞かなければならない?どうしてそんなこと。
どうして?
「…お前は」
短く聞いた。
「お前は、誰か探してるのか?」
その言葉に、グレグズンが僅かに瞠目した。
そして、何かを言いよどむようにして頷いた。
「…まぁ、ね」
「そうか」
「…なんで聞くの?」
「…この間」
この、間。
想い出す手の指に触れた唇の感触。
ライトグリーンの目。
「俺と、誰かを間違えてたぞ」
「………そうか」
「ああ」
何故だが、心苦しい。違う、何故か。
泣きたい。
何を考えてるんだ、俺は。何をしたいんだ、俺は。
「なぁ」
グレグズンが聞く。
「…なんだ?」
「なんて言ってた?俺」
「………『探した』」
「ん?」
「『探したぞ、お前どこ行ってた』」
グレグズンのライトグリーンの目が細められて、俺を見る。
「『お帰り』」
最後の言葉を口に乗せると、不自然なまでの沈黙と共に。
「――そう、言ってた」
「……そっか」
「それじゃあ、俺は行く」
今のこの空間が、なぜか居た堪れない。
その場から逃げ出すように歩き去った。
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「――『お帰り』…か」
諦めようと、押し込んだのに。
なのに、結局は求めたまま。
「…駄目だね、俺も」
自嘲に塗れた言葉を吐き出して、グレグズンもその場を後にした。
つづく⇒NEXT