=はがゆいのは、あなただけではないのです。(ホムワト)=
カタタン・・・カタタン・・・・
揺れる列車のコンパートメントの中に、いつものごとく二人きり。
なのだが。
「ワトソン・・・」
「何?ホームズ」
「いや、何って・・・何というか・・・・」
ホームズが口篭ってしまうのも無理は無い。
何しろ今のワトソンはホームズの向かいに座ってはいるものの
上体を斜めに傾け、肘掛けに両腕を置いて、すらりとした足を優雅に組んでいる。
ぶっちゃけて言うと、
「なんでそんな誘ってますv的な格好で座ってる(てゆーか寝そべりかけてる)んですか」←思わず敬語
個室でよかった・・・と思わずにはいられないホームズである。(そもそも個室じゃなくてもワトソンはそんなことしないと思う)
明らかに挙動不審なホームズを前にして、当のワトソンは平然としている。
「ああ、これ?」
うんうんそうです、それです。
カクカクと人間らしからぬ動きで肯くホームズに、一言。
「誘ってるんだよ」
「すいません、出来ればもう一回ゆっくり言って下さい」←外国人観光客バリの片言口調で
ホームズ、普段の叡智は(いつも充分変だけど)どこ行った。
完全に脳内ショートを起こして固まってる探偵に、世間一般からは助手と名指される男が不満も露わに腕を回して抱きついた。
己の腕の中に納まった細身に探偵が手を添えたのは、おそらく反射だったに違いない。
「きみねぇー・・・・」
ふーっと医者が溜め息を吐いた。
不機嫌そうに眉を寄せている。
「触れられなくて歯痒い思いをしてるのは、自分だけって思ってない?」
「え」
そこでようやく探偵の思考回路に言葉が届いたらしかった。
首に回された腕の温かさも。
「少なくとも、今は僕の方が確実にじれったい思いをしている」
不機嫌に寄せられていた眉は、実は照れ隠しなのだと気がついた。
だって朱に染まってる。その頬が、ほんのりと。
「それは・・・申し訳ない、・・・いや」
喜ばしいことだよ
いつもは彼にそんな恥ずかしいセリフがよく言えると罵られているのに、いざと言う時にはこんな片言しか言えない僕は。
いま、きっと君と同じくらい歯痒い思いをしている。
END
『シャーロック・ホームズへの旅』に載ってた列車内のホームズとワトソンの挿絵(パジット画)から妄想。
ワト子が肘掛けに寄りかかって足組んでて、なんか色っぽかったので(笑)
ブラウザバックプリーズ!
06.04.01.SUISEN