金の島・銀の海(ラフバニ・side:バニー)
彼が泳ぐ、軌跡だけを見ている。
甲板から、綺麗な放物線を描いて彼が飛び出す。
いつのまにか僕の世界も反転して、視線の先に海面が見えた。
僕の身体はまっすぐに落ち、無様にも海面に叩きつけられる。
白い泡に抱かれて、何も見えない。
やっと白い泡から抜けると深い海色が当たり一面に広がる。
僕の他には色を持つものなど何も無い。
いや、僕自身も徐々にその深い海色に染まっていくようだった。
抗う術もなく、重力の思うまま真っ逆さまに身体は海中深くへと沈んでいく。
ふとまだ光の届く海面へと視線を上げればそこに波切る白い軌跡を見つける。
ああ、あれはラッフルズの軌跡。
逆光でその姿を捉えることは出来なかったが、なんとなくそう思った。
纏わりつく海の深さなど物ともせず、実に悠々と進んでいく。
真っ黒な船の陰とラッフルズの描く白い軌跡が僕だけを残して離れていく。
もう海面もだいぶ遠くなった。
ラッフルズの軌跡はもはや白線となり船にいたっては海の深遠に溶け込んで判別つかなくなってしまった。
ラッフルズは僕も一緒に海に落ちたことを知っていただろうか。
いいやきっと気がつかなかったに違いない。
気づいていたとしても、状況からいって彼は僕を置いて泳いでいくことを選んだだろう。
彼の言っていた島まで、僕はとうてい泳ぎ切れる自信も体力も持ち合わせていない。
その上僕は海に飛び込んだのではなく落ちたのだ。
ただの不慮の事故。彼が負う責任など、何ひとつ無い。
きみは泳いで金の島
僕は溺れて海の中
さよなら。
さよならラッフルズ。
暗く深い水の底から
彼の白い軌跡に向かって手を差し伸べた。
君の泳ぐ、軌跡だけを見ている。
深い海に、意識も引き込まれて沈んでいく。
同時に瞼の向こうに徐々に差し込んでくる光。
そしてまた僕は独り。
彼の居ない朝に目覚める。
END
あーせつねぇ。
書いててどんどん切なくなってくんですがラフバニ・・・!
この二人の話はホントにもう、終わりがハッピーエンドじゃないからなんかもうただただ切ない。
ホムズ作品は作品自体終わってもホムズとワトの日々がそれなりに続いていく感がありますが。
ラッフルズ、最後行方不明だもんなぁ。バニーは独りだもんなぁ。
切ない。切なすぎる・・・!
だからと言ってあまり幸せにしようという気が起きて来ないのは何でだろう。
この薄幸っぷりが好きなんだろうか。うーん。
ブラウザバックプリーズ!
07.12.13.TOWEL・M