それぞれの朝の情景(二本立て)
=LL=
「ん・・・」
ぱかっと目が開くと窓から朝の眩さが入り込んでいた。
昨夜はカーテンを閉め忘れた・・・?
いや違う。
昨夜は一度閉めたカーテンを開けて入ってきた文字通り無法者が居たのだ。
「ん〜・・・」
ごろんと寝返りを打つと腰に重みを感じた。体もだるく、まだ起きる気にはならない。
なのに思わず上半身を起こしてしまったのは、寝返りを打ったときに自分以外の体温に触れたからだった。
「・・・らう・・・」
言いかけて、慌てて口を噤む。彼はまだ夢中を漂っている最中だったから。
「ラウール・・・」
もう一度、今度はそっと名前を呼ぶ。
大抵朝までには居なくなってしまう彼がこうして自分が目を覚ますまで隣に居るのはごく稀だ。
・・・一夜明けた後の寝顔って見るの久しぶり・・・いや初めてか・・・?
ウォーターブルーの目も、いまは瞼の裏に仕舞い込まれている。
普段あまり会う機会もなくじっくり見ることの無い顔をじっと眺める。
金の髪に埋もれる端正な顔立ち。小柄なことと体の線が細いこともあって秀麗な美男子を思わせる。
けれどその形(なり)が油断を生む。
愚かな小悪党には見抜けないであろう。
迂闊に触れれば焼けつくされてしまいそうな金の悪魔、その輝きを。
「・・・焼けちゃうかな」
ぐっと顔を近づけて眠る彼の顔を覗き込んだら形のいいその唇になんだかキスしたくなってしまった。
起きるかな。起こしちゃうかな。
起きませんようにと願を掛けてそっと、その唇に触れるだけのキスを落とした。
それでも変わらぬ端正な顔に、何故か急に恥ずかしさがこみ上げてきて。
「しーーーっ」
誰も居ないのに、辺りを見回して口に人差し指を当てた。
その影で必死に笑いを堪えながら狸寝入りするものが居たのは彼も知らない秘密。
=グレレス=
「・・・・ん」
差し込んできた朝の空気に、目を覚ます。
たいてい、ここでグレグズンがおはようと言って額にキスを落としてくるのが常だ。
だから、今朝もてっきりそうなんだろうと寝ぼけた頭で思っていたのだが幾ら経てども声も何も降っては来ない。
「・・・?グレグズン・・・?」
はてと思って顔を上げると、規則的な呼吸を繰り返すグレグズンの顔に遭遇した。
「めずらしいな・・・いつもは俺よりはやく起きてるのに・・・」
そっと身を乗り出して、その顔を見つめる。
光の加減によっては淡いグリーンを弾く薄い金糸。
整った面立ちに、いまは隠れているライトグリーンの輝き。
まあだらしがない性格はともかく、この顔だったら女性人がほっとかないと思うのだが。
(それがどうして俺なんだか・・・)
嬉しいのだけれど照れくさい。
そんな気持ちになって、グレグズンの顔から目を逸らしその胸に顔を埋めようとしたとき。
「・・・れいど」
「ん?」
不意にグレグズンの口から何事か音が零れた。
顔を上げるが、その目は未だ閉じられている。
「寝言か・・・」
なんだ、と思って肩を下ろした瞬間。
「レスト・・・レイド・・・・・」
今度ははっきりと聞こえた。
なんだこいつは。
まさかとは思うが。
「俺の夢見てるのか・・・?」
自分で言っておいて何だがものすごく恥ずかしい───
毎朝一緒に起きて、同じ職場に出て。一緒に帰って。
それこそ四六時中一緒に居るのに、夢にまで見てるってどういうことだ。
「・・・・馬鹿」
「ん・・・・?」
覚醒が近いのだろう、グレグズンが寝ぼけた声を上げた。
ゆっくりとぼんやりと、ライトグリーンの色が今日もまた世界を映し始める。
いつもグレグズンもこんなふうに自分を見ているのだろうか。
でも今日はいつもと逆に。
「グレグズン」
「んあ?」
「おはよう」
彼の額に、いつも彼がしてくれるように、キスをした。
END
はい、二本立てでお送りしてみました^^
ネタ的に同じだったしワンシーンだけ思い浮かんだので。
いま当サイトで砂糖街道を突っ走ってるルパルブとグレレスに決めていただきました(笑)
ブラウザバックプリーズ!
07.07.15.TOWEL・M