んなことも、ないこともない。(リパハル)
勉強熱心なハルヒはその日も英国語で書かれたある一冊の本を必死に読み解いていた。
タイトルは『The Amateur Cracksman』。
直訳は『素人盗賊』。
二人の若い男が学生気分をそのままに、スポーツなど趣味をやるような感覚で盗みをやる・・・という物語らしい。
一話完結の短編集なので、これなら自分にもなんとか、とハルヒはせっせこと読み進めていた。
「ん・・・・?」
知らない単語は調べつつ文法を調べつつ読み進めていたハルヒの手があるページをぴらっと捲った瞬間に止まった。
めくったページにあった見慣れすぎた単語が、目に飛び込んできたからである。
『Jack the Ripper』
日本語訳は『切り裂きジャック』。
娼婦連続殺傷猟奇事件でその名を轟かせ、未だ捕まっていない人物───。
いま、後ろにいるんですがなにか?(しかもココ、ソイツの家です)
まさか物語の中でまでこの名を見かけるとは。
さっそく、ハルヒはその周辺の単語を調べて訳してみる。
『・・・まだ捕まっていないが切り裂きジャックとておそらくは普通の社会人だと確信する。
犯罪者の残虐な行為とその同一人物の日頃の尊敬すべき言動は一般の人の目には重なり合うことはない・・・』
そこまで翻訳し、ハルヒはくるりと後ろに居る切り裂きジャックご本人様を振り返る。
じーーーっと見ているとこちらの視線に気づいてジャックがハルヒに目を向けた。
「あ?んだよ??」
そのジャックのイデタチは燃えるような紅い髪に血のように紅い目。
両手は義手でシャツに作業用ズボン、ロングブーツを履いている。
その容姿は結構パンクで、街中ではかなり目立つ。
まあ普段は教会の跡地や街の一角で貧しい子どもたちと遊んでるから
一般市民からは確かに危険人物とは見られてはいないだろうが。
「あんまり『普通』じゃないかも」
「は?」
ハルヒの手にある物語に自分の名が出てきたことなど
ついぞ知ることの無いジャックはワケが分からないと言わんばかりに声を上げる。
「なにが普通じゃねぇって?」
「ん、ほら、頭とか。」
「それは髪の話か中身の話か」
「もちろん両方」
「って、オイ!!!」(怒)
「あ、ついでに髪の形も変。」
「追加すんな!!だーッもうッ!お前ちょっとこっち来ぉーい!!」
「イヤーよ、アタシはただいまマジメに勉強中!」
一軒の年季の入った小さな借家の中で、ドタバタと逃げる音と追い回す音が賑やかに始まった。
END
これもラッフルズをダシに。
『二人で泥棒を』第一巻の第3話に切り裂きジャックの名が文中の様に出てます。
リパとハルヒの日常は各々の時間を過ごしつつも、何かの拍子ですぐドタバタと追いかけっこになってるといい^^
ブラウザバックプリーズ!
06.09.01.SUISEN