おいで、と言われ彼に手を引かれながら歩いてきたのはエトルタの海岸。

 そこにはエギュイーユ・クルーズがいつもと変わらぬまま聳えていて

 私はそこから臨む日の入りが何よりも好きだった。

 

 彼はエギュイーユを背にもう一度私に手を差し伸べ言った。

 

 おいでモーリス。エギュイーユにおいで。

 僕の虜におなりよ、と。

 

 

 

『虜の塔』

 

 

 

 エギュイーユの彼の寝室は広くて、ベッドも大きい。

 ただ枕も布団もふかふかで、寝心地はたいそう気持ちが良かった。

 コロンと仰向けになり見あげれば天蓋の天井には綺麗な装飾が施してあった。

 それは眠りに誘う為に決して華美ではなく、安らかな美しさを以って讃えていた。

 心地よい環境についうつらうつらしていると足元から彼の苦笑が聞こえてきた。

「まだ寝るには早いよモーリス」

「うん・・・・」

 クスクスと笑う声に少し夢うつつに答える。

「カーテンも引けるから、ベッドの中だけ暗くできる。少し寝てみるかい?」

「ん・・・」

 もう意識は半分遠退き始めていたから、彼の言葉は夢の中で響いた。

「その代わり、夜はきみを貰うからね?」

 それが何を意味するかを認識する前に意識がするりと闇に融けた。 

 

 

「ふっ・・・・く、ああ・・・ッ」

 静かな夜の静かな前戯。

 今宵も月明かりに浮かぶ、きみの肌が美しい。

 

 昼間言ったとおり夜は怪盗にその身を貰われることとなった伝記者だが、基本的に彼に抱かれることを好しとしているので事にはあっけなく及ぶことが出来た。

 ただ、慣れなくて恥ずかしいだけだ。

 顔を赤らめてもじもじとそう言う様は本当に可愛らしくて自制が利かなくなりそうだと怪盗は思う。

 自分の下で身悶える夜色の髪と目、そして白い肌。

 夜の女神ニュクスを味方につけたと言っても過言ではないだろうその姿に、打ち震えずにいることなどできるだろうか?

 己が怪盗であったからこそ彼を手に入れることができたのかもしれないと俄かに自惚れている自分にルパンは知らず笑みを零した。

 

 ふと伝記者の身体に愛撫をほどこしていた怪盗の手が止まる。

 それはひと時の熱に浮かされている伝記者には到底図ることの出来ぬ気配に気づいたようであった。

「ん・・・あ・・・・ラウール?」

 自分から意識を逸らしてしまった怪盗の名を伝記者が疑問符を載せて呼べばルパンは視線を彼に戻しにっこりと微笑んだ。

「モーリス。少しの間善い子にしてられるかな?」

「・・・?・・・ッ、ん、ふぅうっ?!」

 シーツの端を口に持ってこられるのと同時に唐突に内に侵入されてルブランは思わずシーツを口に咥えて耐える格好となった。

「そうそう、善い子だ。このまま少しだけ静かにしていておくれ」

「・・・・?!」

 困惑の色を浮かべたルブランを、ルパンは楽しげに見つめた。

 

 このまま、と言われても。

 下肢はすっかりラウール自身を咥え込みこれからの刺激を待ちわびて震えが走り始めている。

 どういうことか訊こうと口を開けようとした瞬間、室内に無機質なノック音が響き渡る。

 それにギクリとして慌ててシーツを咥えなおし彼を見上げると、彼はクスリと笑って人差し指を口元に当てた。

 静かに、というジェスチャーに彼がドアの向こうの者を迎え入れようとしていることに気づいて一気に顔が熱くなる。

「・・・・・!」

「入れ」

「失礼します」

 抗議を上げる前に彼が外にいる者の入室を許してしまい結局彼の言うとおりに静かに耐えているしかなくなってしまった。

 受け答えの感じからして入っていたのは彼の部下だと思われたが、そのときの私はそれどころではなくて生緩い刺激に耐え忍ぶことに必死になっていた。

「お取り込み中でしたか」

「別に構わん。話せ」

 そこは構うべきだろう、と思えどもそれを口にすることなど到底叶うはずも無い。

 天蓋から落ちているカーテンが引かれてあるおかげでこちらの様子が外の者には見えないのがせめてもの救いだった。

 痴態を曝す破目になる可能性は低いが、あられもない声を果たして防ぎきれるかどうか。

 知らずシーツを咥える口元に力が入る。

「・・・ッ・・・・!」

 びくん、と体が跳ね上がった。体の内部、とりわけ下肢から繋がるその奥に異変を察知する。

 さっきから咥え込んだままの彼自身が、その存在感をよりいっそう大きなものにして私の内部を圧迫してきた。

 それに加え、彼の手が私の頬から首筋にかけてをゆっくり撫で下ろす。

「・・・っ、」

 見上げてぶつかった彼の目はねっとりとした情欲を含んでおり、息を呑んだ。

 同時に身体も竦んだが、それをしてなおこの身体は彼から与えられる快楽を待ち望んで震えていた。

 熱の含んだ視線や表情とは裏腹に、彼の口から発せられる部下への指示は異常なまでに沈着冷静だった。

 その間にも、内部にいる彼はその質量を増していく。

「・・・っ、・・・・!・・・・!!」

 私は自分が彼を誘い込もうと蠢く内水の音さえ聞こえてしまわないかと不安で必死に抑えようとするが、

 如何せん己の下肢は意思よりも目先の快楽を優先しようとしてしまう。

 おそらく五分も経たない時間だったのだろうが、私には永い拷問だった。

「指示はいま言ったとおりだ。後はお前にまかせる」

「御意」

「っ!あああああッ!!」

 彼の意のままにと部下が告げ、パタンと部屋の扉が閉じられた途端に一気に最奥まで突き上げられていままで押し込めていた悲鳴が部屋中に響き渡る。

「ううう・・・」

「よく我慢したね。善い子だったよ」

 よくできました、と言ってこめかみに軽く口づけを落とす。

 強すぎる刺激に、ボロボロと涙を零していた私は今の悲鳴は絶対聞こえただろうなと想像するに耐え難い羞恥に顔を赤くした。

「うーうー」

 快楽を羞恥が勝ってポカポカと手を上げだした私を、ルパンが苦笑の下に抱き起こす。

 離れていた体が近くなって、私はさらにぺちぺちと彼の身体を叩いて抗議したが、次第に抱き縋るだけとなった。

「うー・・・・」

「モーリス」

 どこか困った顔のまま、グッと私の身体を持ち上げる彼に内なるものを引き抜こうしているのだと察知して慌ててそれを制止に入る。

「っく、あっ、だめ・・・」

「モーリス?」

「まだ、出ちゃだめ・・・・」

 すでに引き抜きかけていたルパンは一瞬きょとんとした顔でこちらを見つめたがすぐにフッと笑って、

「じゃあ、遠慮なく戻らせていただくよ?」

「え?──っあ!はぁ・・・───!」

 一度引き抜きかけてきたものを再びずぶりと押し込んできたのだから堪らない。

 たちまち体がしなって圧迫感から逃げようとするが、それを彼が許すはずもなく。

「んああああ・・・・っ!」

 座り込む形で、彼を深く呑み込むこととなった。

 浅い呼吸を繰り返して、目の前にある彼の金糸の頭に両腕を回して縋りつく。

「モーリス・・・平気?」

「んっ、い、っからはやっ、! ひああっ?!」

 早くと望んでおいて何だがせめてこちらの言葉を聞き終えてから動いて欲しい。

 この状況では通用しないそんな堅い考えが頭を過ぎったが繰り返し与えられる律動にそんな思いもすぐさまホワイトアウトする。

「んっ、あっ、ああっ、っや、ああっ」

 重力も手伝ってか彼が最奥を絶えず突き上げてくる刺激に腰を浮かしてはそれを彼に制されるを繰り返す。

「う、あっ・・・、や、も・・・!らう、る・・・・!!」

「・・・・っ、モーリス・・・・」

「っ、あ─────・・・!!」

 強く彼に抱きしめられたまま、果てると同時に意識を飛ばして彼にまかせた。

 

 

「ん───」

 もぞもぞと柔らかな感覚の中を彷徨う。

 けっこう動いているはずなのにお目当ての感覚が見つからなくて仕方なしに目を開けた。

「んーーー」

 両手をついて身体を起こすときょときょとと辺りを見回し───少し離れたところに、けれども同じベッドの中に目当てのものを見つけた。

 広いベッドは確かにいいかもしれないが広すぎるのも問題だと思った。

 一緒に寝てるのかどうかも分からないじゃないか。

 ずるずるとお目当てのところまで這っていくとそこで再び身体を横たえるともぞもぞと寝の体勢を作った。

 すると当然のように腕が伸びてきて彼の胸の内へと引き寄せられて人肌の温かさを手に入れた。

 これでしばらくは惰眠を貪れそうだと、満足げにひとつ大きく息をつくとゆるゆると髪を撫でられた。

 一瞬次目が覚めたときには彼がいなくなるのではないかという不安に駆られたがここが自分の家ではなく彼の根城であったことを思い出しそんな不安は解消される。

 

 いまやルパンの城でルパンの虜となった自分に、そんな心配など必要ないのだから。

 

 

 

END

うん、なんていうか。
エロが書きたかっただけです。
最初に思い浮かんだのは室内侵入者・ルブ喘ぎ声我慢シーンです。
そっから派生してだらだらと。
うふふ、まさかリハビリ小説の後に一気にエロに行こうとは。
水玉だってびっくりだ!(笑)

ブラウザバックプリーズ!

07.11.18.TOWEL・M