配布元:C.S
1 冷たい手
春/夏、秋/冬
どの季節を通してもひやりと冷たいその手を
この季節はいっそう明確に感じる。
「うわあ、ホームズ!」
「なんだい、ワトソン」
「なんだいじゃないよ。こんなに冷え切ってて、それでよく自由に手を動かせるね」
触れた先から広がるあまりの冷たさに、思わず背筋がピンとしゃちほこ張る。
当の手の持ち主は瀟洒に己の手をひるがえしてみせる。
「そうかな。そんなに冷たいかな?」
一年を通してその体温はおそらく常人よりも少し低い程度に保たれているのだろうが、
この寒さの厳しい──まして雪も散らつく今の季節にはいっそう低く感じられてしまう。
「うん、冷たい。冷たすぎて、一瞬感覚器が間違えて『熱い』って言うくらいに」
自分で言って、あれ、と口にする前に。
それじゃあ冷たいのも熱いのもたいして変わらないじゃないか。
ホームズがそう言って笑い出し、わたしもつられて笑ってしまったのだった。
2 冷たい瞳
ワト⇒ホム
それはたとえばまだ出逢って間もない頃の、あるとき私を見つめる瞳だったり。
彼が無能と称する警官に向けられるものだったり。
恋と愛に溺れた女を見る目だったり。
それはもう『感情』という概念に向けられていたり。
とにかく、あの頃の君の瞳は。
ルブ⇒ルパン
ただ一度、共に冒険した夜。
それは正式に『君としての君』に出会った夜でもあった。
悪党の手に狙いを定めた照準。
それを見留める目が。
威風堂々、場を演習し、活き活きと輝くその瞳が。
実は鋭く、斬れそうなほどに冷たく瞬いていたのを憶えてる。
あれから君と一緒の冒険はしていないけれど。
君は、まだ。
切っ先鋭いあの眼差しを。
べシュー⇒バーネット
第一印象は道化師だ
道化の目だ
人を小馬鹿にする、愉快犯のそれと一緒だと思っていた。
けれど、あの瞬間。
単純ながらも全員が騙されていたカラクリを君が見事に暴いてみせたとき。
犯人を叱責し、強く罵ったあのとき。
あのとき、君の眼は。
リパ⇔ハルヒ
いわゆる、燃えるような赤というものではなかったわね。
それはむしろ水を湛えていた。
溢れんばかりの、紅い水を。
冷たいと感じたのはそれだけが理由ではなく。
笑うとき
笑うのはその口元だけで
その瞳は、
漆黒の霞む夜霧のなかにほんのりと温かみの在る色を湛えておきながら。
冴え冴え、とまではいかないにしろ
何処かしっとりとした冷たさをその瞳は持ち合わせていた。
ヨザクラとはそういうものなのよ
そう言った。
そのときキラリと光を弾いた
その瞳の奥に、
ブラウザバックプリーズ!
08.04.27.TOWEL・M/再録・再編