Cold#5

配布元:C.S

2 冷たい瞳

ワト⇒ホム

それはたとえばまだ出逢って間もない頃の、あるとき私を見つめる瞳だったり。

彼が無能と称する警官に向けられるものだったり。

恋と愛に溺れた女を見る目だったり。

それはもう『感情』という概念に向けられていたり。

 

とにかく、あの頃の君の瞳は。

 

 

ルブ⇒ルパン

ただ一度、共に冒険した夜。

それは正式に『君としての君』に出会った夜でもあった。

悪党の手に狙いを定めた照準。

それを見留める目が。

威風堂々、場を演習し、活き活きと輝くその瞳が。

実は鋭く、斬れそうなほどに冷たく瞬いていたのを憶えてる。

あれから君と一緒の冒険はしていないけれど。

 

君は、まだ。

 

切っ先鋭いあの眼差しを。

 

 

べシュー⇒バーネット

第一印象は道化師だ

道化の目だ

人を小馬鹿にする、愉快犯のそれと一緒だと思っていた。

けれど、あの瞬間。

単純ながらも全員が騙されていたカラクリを君が見事に暴いてみせたとき。

犯人を叱責し、強く罵ったあのとき。

 

あのとき、君の眼は。

 

 

リパ⇔ハルヒ

いわゆる、燃えるような赤というものではなかったわね。

それはむしろ水を湛えていた。

溢れんばかりの、紅い水を。

冷たいと感じたのはそれだけが理由ではなく。

 

笑うとき

 

笑うのはその口元だけで

その瞳は、

 

 

漆黒の霞む夜霧のなかにほんのりと温かみの在る色を湛えておきながら。

冴え冴え、とまではいかないにしろ

何処かしっとりとした冷たさをその瞳は持ち合わせていた。

 

ヨザクラとはそういうものなのよ

 

そう言った。

そのときキラリと光を弾いた

その瞳の奥に、

 

 

3 溶けない氷(リパハル)

「ハルヒ・・・・・」

ベッドの上に横たわるハルヒは二週間前と明らかに違っていた。

たった二週間でひどく痩せ、また生気も感じられなかった。

萎れ始めた花のように、それは弱いものだった。

 

 

「あれー?もう溶けちゃった!」

「んあ?なにが?」

「氷よ、氷」

あーあ、水っぽくなちゃった☆

飲み物に入っていた氷が溶け、味が薄くなってしまったとハルヒは不平を言った。

「ね、ね、ずっと溶けない氷って無いのかなぁ」

そしたらけっこう便利だと思わない?

コイツはまたそういう浮いた夢のようなことを言う。

「無理だろ、んな常温でもすぐ溶けちまうようなもん」

ずっとなんて持つわけないと鼻であしらうと夢がなーいと機嫌を損ねた。

「夢のようなことっていうのは誰でも思う理想なんだから、いつかは誰かが叶えるもんなのよっ」

最初っから諦めてるアンタには無理だろうけどねっ

 

そんな他愛も無い話をして、その日は別れた。

それが二週間前の出来事。

 

溶けない氷───

 

 

「ハルヒ、行こう」

自分では動けなくなってしまったハルヒの体を慎重に抱き上げる。

「行こう──溶けない氷、おれが造ってやるから」

そうだずっと引っかかってた

不安だった

お前に抱いた感情。

それとは反する時間の流れ、お前が負うなにか、そして終わり。

おまえの臓腑を永遠に飾るだけでは満たせない、埋められない穴を満たす術。

 

溶けない氷

溶けない氷

解けないように。

 

「造ってやるよ。おまえのために」

そうおれのためじゃない、すべてお前のために。

夢見のバカは好きじゃないがお前のためならなってやる。

お前と共に在れるなら───

 

 

 

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08.04.27.TOWEL・M/再録・再編