これは小さい頃に見た夢
幼稚園か、小1か。
そのぐらいのときに見た
夢の中で必死に夢を否定した、夢だった。
スキー場に家族で来ていた。
バンガローのような家に泊まった。
家のなかのことは何一つ見なかった。
夜
わたしは外に出た。
愛用の赤いソリを持って。
外に出てすぐ、斜面がなだらかに広がっていた。
そこを赤いソリに乗って
足で雪道を漕ぎながら
ワシワシとすべった
バンガローから漏れる橙の灯りと夜の暗さ
照らされた雪の白
中間色の灰色
振り返ると、長い影。
父だ、と思った。
それなのに、次の瞬間
屋根の上に血まみれで横たわる父を見つける。
屋根の傾斜を、ワインレッドの血が三本ほど。
筋になって、つたっていく。
白い雪に血が一滴二滴落ちて、じんわり滲んだ。
わたしの隣に佇んでいた影は父のようであったし、母親かとも兄かとも思えた。
どちらにせよわたしは屋根を見上げていてよく分からなかった。
ここでわたしは、わたしの意識は分裂する。
その光景を冷静に認知している『夢の中』のわたしと
これは夢だと夢を必死に否定する『起きようとする』わたしと。
夢の中のわたしはバンガローに入って誰かを呼びに行く。
しかしここからのビジョンがはっきりしない。
起きようとするわたしが邪魔をして、ビジョンにノイズを入れてきてしまったからだ。
たしか、バンガローに入ると何故か父がいて。
おかしいなと思い、もう一度外に出て屋根を見上げるとやはり父は血を流して横たわっている。
もう一度バンガローへ・・・・・・・
そこいらあたりで目が醒めた。
* * *
目を醒ましたわたしはご飯を食べながら、ヴイーンと音を立てて髭を剃る父やワイシャツを着ながらミシュッミシュッと畳の上を歩く父を視界の端で捉え
ていたのだった。
目が合うと、へへーーッと笑ってやった。
「なんじゃいオマエは」
言いつつも、父もニカニカ笑っていたのだった。
END
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これはある意味目覚めるための闘いだったのかもしれない。
はっきり覚えている、夢のひとつ。
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