たとえば、彼が100万人の女性と付き合ったことがあるとして
しかし彼がおなじように彼女を愛せないのは
ふたりがあまりにも刹那すぎるから
殺せてしまった方が楽だったかもしれない
最期の瞬間/ふと辿り着いてしまったひとつの後悔
なぜ 殺して しまわなかった
ビキッ、ミシミシ・・・・・ッバキンッッ
気温を保つ装置がイカレたか。
いまや凍てつく世界を高温の世界を繰り返す始末に根を上げて、とうとう義手が両腕ともに吹き飛んだ。
それでも構わず、氷柱に這い登る。
溶けかけ、水がつたう氷の柱に何度も拒まれ、滑り堕ちながらもなんとかしがみついて這い上がった。
肩からわずかに残った腕とは呼べないような、おれにとっては貴重な『腕であったもの』を使って氷柱にすがりつく。
もう、痛みも何も亡い。
いまこの空間にはおれとハルヒ──邪魔するものは何ひとつ無いということが解っていさえすれば、充分だった。
一度溶け始めた固体は、見る見るうちに液体と化していく。
いままでずっと、ふたりを隔てていた壁が徐々に崩れていく。
否。
それを築き上げたのは自分ではなかったか。
───しかし彼女もまた、それを了承してしまったのだ。
流れる水は彼女を白日の下にさらしていき、同時に自分の上に降りしきる。
もう、しがみついてもおれなくて、水と一緒に流される。
仰向けに転がったおれは溶け出るそれを見つめていた。
ゴバッ・・・・・ドサリ
最後まで支えていた氷柱が落ち、寝っ転がっているおれの上にしばらく触れ得なかった存在が流れ堕ちてきた。
もはや亡い腕を使い、どうにか手元にとどめる。
彼女はうつ伏せになってしまっていて、自分の胸に在るその顔は見えない。
それでも言葉が口をつく。
「いよぉ・・・・ひさしぶり。おれの花嫁サン」
話しかけたって動きゃしないのに。
『永遠』にしたはずなのに。
『永遠』に。
永遠に───失ったのは、おれの方だった。
彼女を失わせたのもすべて
───殺せてしまえればよかったのに。
そしたら・・・・こんなに時間はかからなかった。
殺せていたら、もっと早くに、いや当の昔に。
彼女は、おれのものになっていたはずだ。
どうしてこんなに時間をかけてしまったんだろう──たかだか一人の女を愛するために。
ビキビキビキビキビキ ビシッッ
とつぜん空気が冴え渡り、濡れ鼠だったおれとハルヒを結晶のような氷が包んでいく。
最期くらい、顔が見てぇんだけどな
苦笑いを浮かべて、目を閉じた。
が、次の瞬間
聞こえた声におれは目を見開いた。
───アタシの国でいう、『三々九度』がまだだわ───
目を開いた瞬間、見たいと思っていた顔がすぐ近くにあって。
彼女の唇が、自分のそれに重ねられていた。
───なんだよ、『サンサンクド』って。こんなときぐらい、遠まわしはやめろよな、ったく。
耳に届いた昔日の愛しき声は今際のきわの幻聴か。
紅き瞳に映りしただひとりの面影は冷たき水晶の悪戯か───
すべての感覚が凍りつく直前。
だがしかし、触れ合った互いの唇は、確かに生前のそれだった。
すべては/真実は氷の中
刹那のふたりの、刹那の秘密。
END
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ッくあーーーーーーー!!せつねえなあ、おいッッ!!(雰囲気ぶちこわし☆)
ホントは冒頭の詩を、構想していたリパハル絵のロゴ(?)にしよーかなーとか思ってたんですが。
なぜか妄想大暴走でこんな結果に。
二人の末路その1ってところでしょうか・・・・話的には。
なんだかお題ネタと合ってないような気もしますが、これはL40行きだろうなと思って無理矢理押し込みました(笑)
皆さんのリパハル末路を密かに募集中☆(だまれ)
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