いや、だからどうだって言われたら、きっと別にどうでもいいことなんだろうけどね

でも、でもね。

 

 

今日も今日とて、ひさしぶりに訪れた友人宅で羽を伸ばす稀代の怪盗。

長椅子でまどろみ、彼が喜びそうな冒険談を語り、一息ついて。

ふと湧いた疑問と口をついた言葉。

「ルブラン。君、恋人は?」

「・・・・・・」

返答なし。これを肯定か否定か見分けられる人間はそうはいないだろう。

「いないのか。でも誰かに恋したことはあるだろう?」

「・・・・・・」

返答なし。怪盗はその意味を汲み取って少々驚く。

「いままで?一度も?」

「・・・・・・無い」

これにはさすがの怪盗も言葉を失くす。

 

冒険するたびにいつも多き恋をし、彼に語って聞かせている中でふと湧いた疑問。

ルブランからは、一度も浮いた話を聞いたことが無い。

ルブランの家は小さいながらも一軒家。しかし訪れるものは少ない。

自分が訪れる以外には出版関係の人物か、はたまた真っ当な友人が本当に極稀に訪れるかどうか。

確かに、それで恋などしてようかと言われればそれまでな交友関係と生活ぶりなのだが。

「・・・ほんとに?本当に『愛してる』って思ったことも感じたことも、無いのか?」

なんだか酷く胸の奥が痛く感じられた。二十余年生きてきて、一度も誰も愛したことも愛されたことも無いなんて痛すぎる。

「・・・・『好ましい』ぐらいならあるが・・・・・・」

『愛した』ことは無いな。まだ一度も。思ったことも無いし、誰かに言われた憶えも無い。

顎に手をあてて熟考した友人は己で肯き、納得し、言葉を紡ぐ。

 

「僕にとって、君は『愛すべき』だよ」

 

思わずそう言い放っていた。強く。言い縋ると言ってもいいくらいに。

ルブランが驚いて顔を上げてこちらを見る。常に冷静という点では彼の探偵と一緒の彼だが、探偵以上に沈黙に座する彼にはこの感情の表記は珍しかった。

「僕にとって、君は『愛すべき』友人だよ。でも、君には違ったかな」

僕がじっと彼の目を見つめて言うと、彼はまた顎を引き、熟考に入った。

顔を上げ、しかし今度は天井の隅を見上げて

「・・・新聞で君のことが取り上げられれば気になる。逆に君にとって悪い知らせが流れると心配になる。気を揉む」

「・・・・・」

「君が気まぐれに家に来てくれると嬉しい。」

あ、ダメだ。口の端が笑ってしまう。

「よくは分からないが、たぶん、私にとっても君は『愛すべき』友人なんだろうな。うん」

勝手に一人で納得して肯く友人は、「他の友人のことは、そんなに考えたりしないな」と呟いて更に納得したようだった。

「・・・ってなんで笑ってるんだ?」

片手で顔を多い、クックと体を震わせて必死に笑いを堪えている僕のそんな様子に彼は眉を寄せる。

「いやいや、失礼。光栄だよ、実質上君のはじめての『愛すべき』ものになれて」

そう言うと彼は一瞬きょとんとして、ああそういえばそうか、なんて言うものだから。

いよいよ耐え切れなくなった僕は腹を抱えて笑ってしまったのだった。

 

 

END

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うふふ、LLで愛を語る☆

あくまで友人として書いたので、水仙に邪推は無いんですが。

やっぱ『愛すべき』なんて言っちゃうと他所の目から見たらきっと邪推度マンマンなんだろーなー(ははは^^;)

しかし管理人、未だにこの二人の喋り方が定まりません(汗)

ルパンはまあ・・・だいたい決まってるんですけど。ルブランがね。

一人称、『僕』がいいのか『私』がいいのか・・・・右往左往☆

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寝てていい。かまわない。