自分で言うのもなんだけど。
僕はとても特異な人間だと思う。
そんな僕を、君は恥ずかしそうに、ちいさな声で愛してると言ってくれる。
ねぇ、それじゃあ。もし。
もしも僕が人間を辞めたとしても、君は僕を愛してくれるのかい?
“人間辞めても、僕を愛してくれますか?”
「ねぇワトソン、君は僕が人間を辞めたとしても、僕を愛してくれるのかい?」
「はっ?」
たいした事件も無く、脳みそが融けていく怠惰な時間。
暇つぶしの思考がもたらしたのは、そんな突飛な質問だった。
「ねぇ、どうなんだい?」
「ど、どうって・・・そんな、急に言われても・・・・」
とゆうか、いきなりそんなこと言うなんてどうかしたの?、とワトソンは眉を顰めて小首を傾げる。
「べつに、特に何も。ただ、退屈なだけさ」
で、どうなんだい?愛してくれる?と問えば、何故かワトソンは顔をほんのり赤らめる。
「そう言われても・・・第一、人間を辞めるなんて、言ったところで出来はしないだろう?」
だから、よく分からないよ。
そう返してきた。
「じゃあ、こうしよう。僕の悪癖が復活したとして」
ホームズ、と咎めるように開いた口を手をかざして制す。例え話さ、と。
「僕の悪癖が復活したとして、それにさらに輪をかけてアヘンにまで手を出し、廃人同然の身になってしまったら───」
それならどう?それでも愛してくれる?
口をキュッと一文字に結んでいっそう眉をよせて、ワトソンが見ている。
「『廃人』ならまだ人じゃないか」
「確かに『人』と称されてはいるがね。しかし実際は人間を辞めてしまったも同然の状態だろう?」
こうしてワトソンと一対一で会話を成立させ、間髪いれずに言葉を返すからと言って私がしっかり喋っているかといえばそうでもない。
事実いまの私は気だるげに長椅子に横になり、ぼんやりとパイプを吹かしている。
なので突然ワトソンが私の上に倒れこみ、抱きついてきた瞬間に本当に頭が醒めた気がした。
「?!ワトソン?!!」
驚いて声を上げればパイプがぽろりと零れ落ちる。慌てて拾い上げて体制を整えるも、ワトソンに強くしがみつかれて体を起こせない。
ワトソンは私の胸に顔を押し付けている。
「・・・・・てやる」
「ワトソン?」
ボソリと呟かれたそれは、今度は私の耳にも届くようはっきりと復唱された。
「愛想つかして愛さなくなる前に、早く人間に戻れって言ってやる」
すこし離れたかと思ったその顔は、再び私の胸に顔を埋めてしまった。
回されたワトソンの手が背に食い込んで、痛い。
「・・・・僕も退屈で、そうとうキテたのかもしれないね。すまない、ワトソン」
愚問中の愚問だったね、
そう言って小刻みに震えながらいまだ顔を上げない彼の背中をゆっくりと擦った。
“人間辞めても、僕を愛してくれますか?”
愛せなくなるまえに、人間に戻ってきてください。
愛してる 愛してない
そんな選択、させるまえに。
END
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うわあ、実質初の愛してるネタか?ホムワト。三部作以来だよ・・・・(滅)
これは自然にホムワトネタで浮かんできた久々の話。
こんなくだらないことを考えながら、人間は生きていく。
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