盗帝国は海に面し、そこに一つの美しい小島がある。
そこには美しい城と美術館が建ち、この国の長が住んでいる。
そしてこの国の最近の噂はもっぱら
「ぎ、ぃやああああああああああ!!!!」
城から聞こえてくる、この悲鳴である。
『樹帝強奪』
「ひぎゃああああああああああああ!!!!!」
「ん?樹帝、ちょっとほっそりし過ぎてないか?ちゃんと食べてるか??!」
「ひ、ひやぁあああああああああッ!!!!!」
盗帝その人に背後から抱きつかれてあられもない悲鳴を上げているのは先日盗帝によって保護(強奪)されて来た樹帝である。
「は、はな、はな、放しっ・・・・」
後ろから抱きつかれて、耳元という至近距離で話されて、もう失神寸前のパニック状態と言ったところか。
「ん?花?そうだなー今日は天気も良いから庭に散歩にでも行こうか!」
そんな樹帝の状態も、ゴーイング・マイウェイな盗帝に伝わるはずも無く・・・
「放せと言ってるんだ」
スパーン。
夜帝の持ったスリッパが、盗帝の頭で小気味の良い音を立てた。
「少しは大人しく接触しろと言ってるだろうが」
「む、失礼だな。軽いスキンシップじゃないか!」
「何処が軽いんだ、何処が。コレは隔離状態で育ってきたんだろう?お前のスキンシップなんか受けてたら身が持たない」
「ふん!だからこれくらい激しいスキンシップが丁度いいんだよ!」
「人はそれをセクハラと呼ぶ」(というかお前いま激しいと認めたな)
盗帝と夜帝のやり取りを、樹帝は夜帝寄りで所在無さげに聞いている。
そんな樹帝を見て、盗帝はさも不満だという顔をした。
どうやら自分に懐いてくれないのが悔しいらしい。
何故盗帝の城に他国の皇帝が二人も居るのかと言うと、樹帝は自国の馬鹿げた制度で贄に捧げられそうになった処を
夜帝は紅帝に目を付けられて危ない処を盗帝に助けられて、それぞれ事態が落ち着くまでの一時預かりということになっているのである。
樹帝も自国の実態を聞かされて、危ない処を助けてもらって、盗帝には本当に感謝しているのだが。
「とゆーわけで、樹帝ぃーーーーー!!!!!」
「っぎゃーーーーーー!!!!!」
この接触過多なスキンシップ(盗帝曰く)にはいつまで経っても慣れないのだった。
「だから好いてほしいのならもう少し考えて・・・」
夜帝はやれやれと溜め息を零すと、スリッパを片手に騒ぎの元へと向かってゆくのであった。
続くはずの無かった日々のお話。
END
***
ルブさんの武器はスリッパ(笑)
恐れ多くもあの怪盗に唯一ツッコミを入れられる人だといい^^
ブラウザバックプリーズ!
ブログ掲載 :06.02.05.
再掲載 :06.04.08.SUISEN