夜の明けない朝が来る

今日もおんなじ

堕ちた朝が、そのまま夜を讃えてる。

 

 

 

『夜帝の国』

 

 

 

灯りの落ちた回廊をひたひたと素足で歩く音がする。

生まれたままの姿に、装飾の少ない布を巻いただけの軽率な格好のこの城の主が、冷たい大理石の床に素足を這わせている。

この軽率さが出来るのも、この国だからこそ。

朝が来ても、この国に光が溢れることは無い。

 

夜の明けない国

朝になっても眠ったままの街

 

人々も、その目を覚ますことは無い。

完全なる静寂の支配する国───

それが、夜帝の治める国だ。

 

普段は静かなこの城も、騒がしくなることがある。

青帝や紅帝、盗帝が訪れる時だ。

青帝はただただベッタリ懐いてくるだけだが、紅帝と盗帝との関係は、いま雲行きが怪しい。

最近、双方ともに『夜を寄越せ』と言ってくるのだ。

紅帝は血気盛んで、盗帝はその名の通り盗みを働くと聞く。

二人にしてみれば夜を手に入れることは有利なことこの上ない。

だがそう易々と渡せる代物でもない。

 

私自身が、『夜』なのだから。

 

思惑の淵に沈んでいて、己に向けられた不穏な紅い光に気づくのが遅れた。

気づけば背後から伸びた四つの刃に体を抱きこまれていた。

「相変わらず無防備だよなぁ、夜帝サンはよぉ」

この回廊歩いてくる間に何回ヤレただろうなぁ?

クックと笑う声が耳を振るわせる。

「・・・お前も相変わらず下世話だ」

溜め息混じりに呟けば壊れた鳴り物のような笑い声がそこら中に木魂して響いた。

生理的な嫌悪を感じて逃れようとしたが、触れた刃の冷たさにゾクリとして動けなかった。

「今日こそは来て貰うぜ夜帝サン?いや、『夜』そのものにな」

喉に当てられた刃にグッと力が込められた瞬間、金属的な音を立ててそれが吹き飛んだ。

「ッ!!テメェ・・・!!」

「・・・・」

紅帝が毒づいた先、私が顔を上げて見つめた先の闇の中。

 

「夜帝を持ってく気か?殺してまで?」

 

盗帝が怒気を滲ませて現れた。

「死体でも手に入れりゃおんなじだろ?」

安心しろよ、まるごとキレイに飾ってやるから。

何が『安心』なのか知らないが、そういえば紅帝には殺した者の臓腑を飾る嗜好があると聞いたことがあった。

私に飾る趣味は無いが、飾られる趣味も無い。

私の視界の外で盗帝が体を構える。

 

「いい加減にしろ、紅帝」

「おお?やる気か?いいぜ、アンタも美人だからな」

 

紅帝は夜帝を取り出した刃物で叩きつけるように床へと固定した。

その行為に盗帝の熱がさらに上がる。

 

夜を巡って、騒がしくなる、夜。

 

 

夜の持つ甘い闇は、人を惹きつけて止まない。

 

 

END
***

意見の割れた作品(笑)
モーリスに基本カップリング思考(とくにBL系)があんまり当てはまらないせいですかね。
自分もこの領域はある意味チャレンジだった・・・(この当時/笑)
でも最近リパルブも(エロ無しでなら)いけるかもとか夢見てます(爆)

ブラウザバックプリーズ!

ブログ掲載 :05.12.02.
再掲載 :06.04.08.SUISEN