あの夜。

あの紅い三日目の月に。

耳を貸しさえしなければ。

 

決戦前夜

 

・・・・・・

むくりとベッドから身を起こす。

ならんだとなりのベッドには愛しい人がすぅと寝息をたてて眠っている。

ここは私たちの古巣、221Bの部屋ではなかった。

あの忌まわしい殺人鬼、モリアーティから逃れるために私とワトソンはロンドンを立ったのだ。

自分のベッドから降りてワトソンのベッドサイドにそっと腰掛ける。

 

逃げられはしない。

あの殺人鬼は『ここに』居る。

逃げても逃げても逃げても

どこに逃げても「私」はいる。

どこにいっても「私」が。

 

・・・・・手が小刻みにふるえだす。

そっと手を添える。眠っている彼の人の首に。

 

 

ああ

 

ああ、いまここで。

 

いまここで、きみが目を覚まし、ただ一言。

 

いまここで、きみが目を覚まし、ただ一言。

 

「人殺し」

 

叫んでくれたのなら。

 

 

「・・・ん・・・・ほーむ、ずぅ・・・・・」

 

 

ああそれなのに

きみというひとは、夢にありても私のことを呼び慕う。

もう、『その名前の人物』はどこにもいないのだよ。

君が知る『シャーロック・ホームズ』はもうどこにも。

 

だから、私から逃げてしまってもいいのだよと。

 

ベッドがギシリときしんだ音をたてる。

私は彼の上にそっと覆いかぶさった。

 

さあ いますぐ目を醒まして

覆いかぶさる私に驚いて。

飛び起きて、飛び退いて、罵って。

「この人殺し」と私を罵って。

決別の力を持つ言霊を、私にむかってぶつけておくれ。

 

ああ それなのに

きみというひとは

 

「ん・・・ホームズ・・・・・・」

くちもとに安堵の微笑みを浮かべて、私にすりよってくるのだ。

ことりと私の手に頭をあずけて。

 

 

安堵の微笑み。

 

 

そうだ。恐れることはない。

きみをアイツに殺させてなるものか。

 

明日私は、きみを守るために。

明日私は、きみを守るために、ヤツとの闘いに最後の幕を引く。

 

 

あの夜。

あの紅い三日目の月に。

耳を貸しさえしなければ。

 

あのまま きみと

懐かしい古巣でふたり、共に笑っておれただろうか。

 

愛しい人。

いっそこのまま知らないままに。

思い出は私に。

光あふれる明日。

光あふれる明日を、世界でただひとり、私が愛したきみに捧げる。

 

 

Good luck...my dear Watson ......

 

 

END

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えー、やっちゃいました。

「シャーロック・ホームズ対切り裂きジャック」設定で、『ホム=モリ=リッパー』というヤツです。

あ、でもワトは全然何も知らないという設定で^^

コカにも手は出してませんよ!!

昨日の夜寝ながら思いついたネタで、ぐすぐす泣いて妄想してました(恥)

ああいつか長編で書きたいですね・・・・

バッドエンドかハッピーエンドになるかはわかりませんが^^

でも昨夜のかるーい妄想ではハッピーエンド気味でした(笑)

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