───バシャンッ

 

痛ぇ。

 

バシャ、バシャ、バシャ・・・

 

ドシャッ

 

あーーー・・・・・ も、めんどくせ・・・・

 

 

雨の日/ロンドンの街/路地裏

 

 

血のように鮮やかな紅い髪が、水溜りをゆらゆらと泳いでいた。

 

 

 

雨の日の少女と青年の邂逅

 

 

 

あーもうっ、お昼はあんなに晴れてたのに・・・

ロンドンの通りを、不思議な装いで駆けていく少女が一人。

夕方からはらはらと降り出した霧雨に、皆々傘を差したり馬車に乗り込んだりしている。

そんな急ぎ足の人々の視線も、側を駆け抜ける少女をつい追ってしまう。

長く垂れた袖で顔に当たる雨を避けながら小走りに走っていく姿は、ロンドンではまず見られない。

こんなことなら、今日は男の子の格好(洋服)にしてくるんだった。

和服は走るのに適さない。

カラコロと、これまたロンドンではなかなか聞けない靴音を響かせながら、少女は一人ごちた。

ああ、だめ。このままじゃずぶ濡れになっちゃう。

カラン、と音を立てて立ち止まる。辺りを一瞬くるりと見渡すと、少女はさっと路地裏へと駆け込んだ。

路地裏は浮浪者が転がってたり世他門どもがゴロゴロいたりする場所があったりして、少女がまして一人で歩いたりできるものではないし、歩こうとすればおせっかいな英国紳士が止めようと声をかけてくるくらいだ。

だが、少女は非常に慣れた様子で複雑に交差した路地裏を迷いも無く通り抜けていく。

少女は賢いというか、知恵の働く娘だった。

何度か少年の装いでロンドンの路地裏という路地裏を探検し、どこが危険でどこが安全かを彼女は熟知していたのである。

この調子なら早く帰れそうね。

ほっと息を漏らしながら角を曲がる。

カラン、バシャンッ

突如少女がその足を止める。水溜りに足を突っ込んで水が跳ねたが、気づいていない。彼女の視線は、その水溜りの中心に奪われていた。

 

水に踊る鮮やかな紅/燃えている、というよりは瑞々しい、紅。

 

一人の青年が突っ伏して倒れ、道を塞いでいた。

いったいいつからここにこうしていたのだろう。彼を中心とした水溜りはかなり広範囲に渡っていた。

顔を見れば歳はそう違わなそうだった。タプタプと溜まる雨水は彼の口元に迫っている。このまま雨が止まなければ溺死もありえそうだ。

「 ねぇ・・・ちょっと、きみ 」

ぐっしょり濡れた肩を遠慮がちに何度か揺さぶると、薄くその目が開かれた。視線だけでこちらを見上げてくる。

その目を見て少女は小さく息を呑む。開かれ、自分の姿を映したその瞳もまた、髪と同じ紅だった。

しかしこちらをちらりと見たきり、再びその目は閉じられてしまった。

もう何度揺さぶっても、呼びかけても、反応は返ってこなかった。

「 んも〜〜・・・どうしろってのよ、これ・・・・ 」

はあ〜〜〜っと深い溜め息を吐いて灰色の空を仰ぐ。

路地裏で見上げる空は狭かった。

ほんのしばらく、そうして空から降ってくる雨を、目を閉じ甘んじて受け入れていたが、よしっ、と気合を入れて立ち上がると。

「 ん〜〜〜・・・ッ しょっ!! 」

青年の腕をどうにか自分の首に回させて、どうにか背負う形にして歩き出す。

ズルズルと引きずる音は静かな雨音に和らげられて。

他に何の音もしてこない路地裏で、いま、世界には自分とこの青年の二人だけなのではないかと少女はふと思った。

 

 

 

「 ・・・・・・? 」

どこだ、ここ・・・・・・

青年が目を覚ますと、見知らぬ天井がまず目に飛び込んできた。

体がものすごくダルイ。

視線だけ動かして自分の体を見れば白い包帯が巻かれている。

ああ、そういやあ。

いつもの如くシゴトを済ませて・・・その途中でヘマして怪我させられて・・・

路地裏に逃げ込んで、追っ手はどうにか撒いたんだ。

でも傷が痛くて痛くて・・・めんどくさくなって・・・・・・

・・・スー・・・スー・・・・・・

ぁん?

追想の途中で、耳にした規則正しい寝息に意識を浮上させる。

首を軽く巡らすと、黒髪が目に入った。続いて眠る少女の顔。

淡く霞んだ白の、見たことのないちょっと変わった服を着ている。

なんだ?こいつ・・・んでもって誰だ。

「 ん・・・・・・ 」

と、少女がぼうっと目を開ける。

あ、起きた。

起き上がると、むむ、とか言ってひとつ伸びをした。

はふぅ〜と息を吐くと、そいつはこっちを見た。

「 あ、目覚めたんだ 」

行き倒れかと思って連れてきたら怪我してんだもん、ビックリしちゃった。全くもっと早く言ってよね。

・・・どっちにしろ行き倒れに変わりはねぇと思うんだが。つーか早く言えって何をだよ・・・・

言いたいことをひとまず飲み込んで、とりあえず当座の質問をぶつける。

「 アンタだれ。ここドコ 」

「 アタシは路地裏に倒れてたアンタを拾った人よ。ここはアタシの秘密基地 」

「 はぁ? 秘密基地ぃ? 」

答えになってない前者の答えに更に畳み掛けようとして、しかし予期せぬ後者の答えにマヌケな声を出してしまった。

「 そ、秘密基地。叔父さまの家ってゴテゴテしてて嫌いだから、一人で家借りてこっちに住んでんの 」

まだ他にもあるんだけどね。ここはアンタが倒れてた路地裏に一番近い秘密基地。

そう答える少女の言葉に辺りを始めてよく見回した。

こじんまりとした感じで、あっさりとした部屋だった。植物も本もあるが・・・女にしては、少々飾り気に欠けているかもしれない。

「 ふぅん・・・ 」

「 で、アンタは誰。名前は? 」

「 ・・・怪我して路地裏で行き倒れてアンタに拾われた人。名前はリッパー 」

「 すっごく重かったんだからね。名前は嘘 」

「 ・・・・なんで 」

内心驚きながらも、平静を装って言葉を返す。

「 だってなんかしっくりこないんだもん 」

「 ジャック 」

「 却下 」

「 オマエ、なあ・・・・ 」

どーしろっつーんだよ。だいたいなんなんだよ、しっくりこないっつーのは。即答で本名否定されでもした日にゃあさすがの英国紳士でも怒るんじゃねぇのか?

さんざん迷って、悩んで。これでダメならマジに切り刻むぞ、瓶詰めにもしてやらねぇッ!!って覚悟でおれは一つの名前を言った。

「 ・・・・・・コールズ 」

「 アタシはハルヒ 」

否定の言葉はなく。おまけにあっさり向こうの名前まで告げられた。

「 あ〜・・・確かにハルヒってツラだ・・・ 」

なんだか知らねぇけど気が抜けて、思わずそんなことを漏らせば少女・・・ハルヒはムッとした顔をして。

「 どーゆーツラよ。それいうんならアンタもコールズっていうツラよ 」

って返してきやがった。ああ、やっぱりコイツって。

「 ・・・変な女 」

「 変な行き倒れ 」

「 行き倒れ行き倒れゆーなッ!! 」

だいたい今名前言っただろ!!ガバッと起き上がって抗議する。途端ズキッと痛みが走って体を折る。

「 まだまだジューブン行き倒れじゃない。それに名前ならアタシも言ったわよ 」

べしっと額を叩かれて倒される。ベッドがギシッと音を立てた。

「 んで、どうよ、コールズ。なんか食べれそう? 」

上から覗き込まれてそう訊かれる。そういやコイツおれと一緒に寝てたんだよな・・・おれが先に目ぇ覚ましたら襲われるかもとか考えなかったのか?

ま、別に襲う元気もねぇんだけどな、実際。

やっぱり変な女だと改めて思いなおした。

「 ん〜〜〜・・・・あっさり系なら行けそうかな 」

あ、それアタシの十八番。こっちの食べ物ってコッテリしててイヤなのよね〜〜〜。

言いながら、ベッドを下りてスタスタと隣の部屋に消えて行った。

こっちの料理?そういやアイツなんか顔が・・・うーん、ヨーロッパ系じゃねぇよなぁ。

外国人か。変わった服着てたし・・・・・・・

ああ、訊きてぇことが山ほどある。

 

つーわけで腹にモノ入れたら質問攻めだな。覚悟しとけよ、ハルヒ。

 

遠くで料理をする音を聞きながら、ふと見上げた窓の外は晴れていて。

慣れない眩しさに、他人に三つの名を明かした青年は思わず目を細めていた。

 

 

 

 

NEXT or END.....

 

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・・・・結局アップしちゃったよ!!!!�堯福�□゜;

イヤ、だって・・・・ものの二時間くらいで打ち終わっちゃったし・・・・

(昨日のチャットで火が点いたとも言う☆)

この時点で昼飯(12時)食い損ねてるし・・・メシを忘れての作業はいい加減控えようぜ自分・・・!!

んで、この話どうしよう;

続きそうだけど・・・これで終わってもいいような・・・続けるとしたらリパーの質問攻めとか・・・

男性ルックなハルヒも出てくると思いますが。

うーん・・・なんとすべー。(どうしようー)

と、とりあえずメシ・・・・(ぐーきゅくるるるるる・・・・)

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