その日の夜はとても綺麗な満月の夜だった。
俺はいつものように屋根の上を駆けていた。
ふと。
薄暗い街路にポツネンと佇む女性が視界の端に映った。
女性は月明かりの下、微動だにせずに立っていた。
目は伏せられ、しかし口元に浮かぶ微笑みは不思議と穏やかだった。
何をしているのだろう。
こんな夜更けに、たった一人で・・・・・・
俺は吸い寄せられるようにその人の前に降り立った。
「まあ、お月様が降りて来たわ」
目は伏せたまま、その人はそう言った。
俺は少し緊張しながら話しかけた。
「残念ですが、私は月ではありませんよ・・・ こんな夜更けにどうしました、ドゥムワゼル?」
「あら、失礼を。あんまり眩しかったものですから。・・・家の鍵を落としてしまったんですの。この辺りに落ちてるはずなんですが・・・・・・」
彼女は相変わらず両の手を前できちんと組んで、しゃんとしている。
きょろりと辺りを見渡せば道の端で月明かりに鈍く光る鍵を見つけた。
「これですか?」
そうっと彼女の手に拾った鍵を握らせる。
仄かな月明かりに浮かび上がった肌は白く、手は細く柔らかかった。
ゆっくり手を放すと彼女はしばらく鍵を触り、感触を確かめていたようだが、突然
「ああ、これ、これですわ!どうもありがとうございます。とても助かりましたわ」
と、感嘆の声を上げた。
「これから帰るのですか?たった一人で?」
もし差し支えなければお送りしますと述べると
「お気遣いありがとう。でも大丈夫ですわ。お月様が出てとっても明るいですもの。」
とにっこり笑うと御機嫌よう、とスタスタと歩き出す。
終始、彼女の目は伏せられたままだった。
俺はしばらく呆然とその後姿を見つめていたが、ふう、と小さく溜め息を吐くと彼女に駆け寄って静かに並んで歩き始めた。
俺の気配に気づいたようで、少し驚いた様子でこちらに顔を向ける。
「私を月と仰ったのはあなたですよ。しばしの足灯りとなりましょう」
俺の言葉に彼女は一瞬きょとんとしたが、すぐにさっき佇んでいたときの微笑みを口元に讃えた。
────これがフランスを代表する大怪盗と、盲目の女神─クラリモンドとの出会いだった。
END
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ひいい!!ついにルパンの恋人までオリキャラだよ!!
懲りもせず・・・馬鹿です・・・
盲目の女神、クラリモンド嬢は近々イラストでも見参予定ですので☆
まあ・・・気長に待ってやってください・・・(何?このダメっぷり・・・涙☆)
あ、ルパン君は臨機応変な子なので『ボクモード』と『俺モード』と『私モード』があります^^
なおさらわかんないじゃんね・・・何よ、モードって・・・・・・
注☆「ドゥムワゼル」は仏語で「お嬢さん」の意味でっす☆
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