擡げたは誰のため?

振り下ろしたのはのため?

 

それは苦しむ我が母のため

 

不自然に揺れていた木戸

虫の息で死に切れず

もがいていた母

 

彼女の半分もない我が子に縋りついて

ヒュー、ヒュー、と

息を漏らして

同じ瞳を爛々と輝かせていた

 

 

擡げたは誰のため?

振り下ろしたのはのため?

 

 

さっきまで見開いていた目が

今は赤子の寝顔のように

穏やかに閉じられていた

 

その安らかな腹を裂いて

出で来たのは腹違い確実の我が妹

 

はじめまして

 

母よ

妹よ

これからは、永遠に安らかな日々を

 

母のデス・マスクと妹を

丁重にホルマリンに漬けた後

 

窓の外が雨叩き降る嵐の夜だったのだとようやく気づいた

 

 

 

 

そして、現在───

 

 

 

 

「 痛ッ・・・ゃ、お前はホームズじゃない・・・!! 放しッ・・・ッ 」

 ジョン・・・ヘイミッシュ・・・ワトソン・・・ 

茶と緑の間を揺れる瞳が怯えに凍る。

決して放さないように/我が聖母・MA−RI−A

掴んだ腕をそのまま引っ張る。

「 痛い・・・!!やめろ、誰なんだ・・・!!どうして・・・ッ 」

痛みに耐え、怯えながらも強く輝くその瞳。

さすが。それでこそ救いの母だ・・・・・・

 おれはホワイト・チャペルの『催楽者』 」

この上ない嬉しさを口元に讃えて告げると、聖母は絶望をその顔に露にした。

わざわざあの探偵に化けたってのに。

やれやれ、聖母サマは手間がかかるなぁ・・・・・・

「 ほ、ワイトチャペル、・・・って・・・・・ 」

まさか、とでも言うように震える声がおれの名を告げた。

「 ジャ、・・・ジャック・ザ・リッパー・・・・?!・・・・・・ 」

引きずる勢いに足がもつれて聖母が転ぶ。

おれは名を呼ばれたことに、どうしてか堪らなく愉快になって。

かまわず、そのまま聖母を引きずって通りを後にする。

「 ぅあ・・・! 痛ッ・・・!は、はなッッ・・・・・・!! 」

霧がどんどん濃くなってゆく。

高尚な悲鳴もその姿も、愚かな者供の目には触れられまい。

「 フフ、ふふふぅ・・・・、フ、ハ、ハ、ハ。HA−HA−HA!!・・・・・・ 

酔いしれたような悦びをあげる笑い声が、霧の波に消えていった。

 

 

擡げたは誰のため?

振り下ろしたのはのため?

 

それはもちろん

 

愛しく哀れな臓腑の御母

揺らめく水面の瞳の

 

 

聖母=MA−RI−Aのため

 

 

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またやっちゃいました・・・

リッパーネタ☆

いや、なんか巷はリッパーブームなようなんで^^;

母・妹ネタは全部水仙の妄★想

ダメじゃあん・・・

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