タンッ、タタタタタ・・・・・・

ロンドンの夜に微かに響き渡る足音。

それはストリートからではなく、屋根の上から発せられているものだった。

タタタタタ・・・へたり。

ずるずるずる・・・。

それまで軽快に刻まれていたタップダンスのようなそれは、突如情けない音へと変わり。

 

「 ・・・どくたぁ・・・・・・センセイぃ・・・ 」

 

まだ夜も明けきらないロンドンベーカー街221Bの屋根の上。

どうにか音になったその声は。

普段の彼のものとは、比べものにならないほどに弱々しいものだった。

 

 

 

 

 

〜犬の猫が怪我をして〜*注意*これはギャグです

 

 

 

 

 

「 ・・・・・・? 」

目を開けると、部屋はまだ闇の中だった。

カーテン越しにも、朝の光はまだ弱い。

何故、こんな半端な時間に自分は目を覚ましてしまったのだろうか。

ふと、胸を強く握り締める。

寝間着が引き攣れたが、それどころではなかった。

どうしたことか、胸の辺りがざわめく感じがするのだ。

突然降って湧いた厭な予感――――

そのとき、天井の方で妙な音がした。

 

・・・ずるずるずる・・・・・・

 

何かが滑り落ちるような音。

それはちょうど彼の部屋の窓の脇で止まったようだった。

 

「 ・・・ぁ・・セ・・・・ぃ・・・ 」

 

カーテンの向こうから漏れてきたその声には聞き覚えがあった。

ベッドから飛び起き、窓を乱暴に開け放つ。

身を乗り出し屋根を見れば、光の少ない中でも煌めく金糸が夜明け前の風に遊ばれている。

猫のように屋根の上で丸まっている彼は何度か見たことがあった。

しかし今の状況では、いつものようにからかうには至らなかった。

腹部を押さえ、抱え込むように丸まっているその体からは、彼の燕尾服の色と同じ、鮮やかな紅が流れ出ていた。

 

「 ・・・あ・・・・・センセ・・・ 」

 

派手に開いた窓の音に、こちらを見ると嬉しそうに笑った。

しかしその顔に血の気は無い。

 

アルセイヌッッ??!!どうしたんだ、しっかりしろッ!!」

 

ホームズはひらりと屋根に舞い出ると、彼を抱きかかえ部屋に入り、自分のベッドにそっと下ろした。

そしてもう一度屋根に出ると血痕を残らず拭き去り、何事も無かったかのように窓を閉めた。

 

 

 

「 ――――ルパン君の様子はどうだい? ワトソン。 」

戸口で足を組んだ状態でホームズが突っ立っている。しかしその肩はそわそわと上下して落ち着かない。

「 うん―――・・・ 急所は外れてるんだけど・・・それでもギリギリだったから――― 」

「 ・・・そうか。 」

「 しばらくは安静にしてないと。 」

ホームズがちらりとベッドの上に目を遣る。

横たわる肢体にはいつもの溢れる生気がない。

見るに耐えないのか視線をそらすと部屋を出た。

「 ・・・・・・ホームズ・・・ 」

一応、一通りの手当てが済んだのでワトソンも部屋を後にする。

 

 

居間にはソファーに横になって不承不承してパイプを燻らすホームズの姿があった。

ワトソンは椅子に座り、そうっとホームズに声をかける。

「ホームズ、ルパン君は大丈夫だよ。」

と、そのときバンッッと扉が開いて。

「おっはよーございます!!センセイ、どくたぁ!!」(満面の笑みで☆)

「寝てろーーーーー!!!!(めっちゃ元気やん!!)(ホム&ワトのツッコミ!!)

「 えぇーーー??!・・・ああ!!ダイジョーブダイジョーブ!! もう治っちゃったよ♪ 」

「治るか!!!!そして大丈夫じゃないッッ!!!!(いやある意味大丈夫だったのか??!)( 再びダブルツッコミ )

そんないつもと変わらぬ姿のルパンを見て俯くホームズ。

「 ・・・・・・ッッ 」(先生、怒りに震えてらっしゃるようです。そろそろくるぞー。)

 

 

――――――プチッ(ほら来た!!)

 

 

イキナリ懐から縄(一束)を取り出しツカツカと怪盗に歩み寄る先生。

Σびくうッッ( ←縄(一束)を見て一瞬怯えるドクター/笑 )

「 わーわーわー??!! なになになにッッ??!! センセー???!! 」

( よかった・・・ぼくじゃなくて・・・・・・《ホッ・・・》←ドクター、心の声。)

( ? ワトソン君は何をホッとしてるんだろう・・・? どうせ・・・/先生、いまオンライン中ですから・・・!!/ああそう。 )

 

( キンコーン♪ )小噺中、不適切な(ある意味適切な)があったことを心からお喜び申し上げます

 

先生、あっという間に縛り上げると窓をバンッッと開け放ち怪盗を放り投げ。( しかもベーカー街表通りに向かって )

「少し頭を冷やして反省したまえよ!!」

 

探偵の窓からブラブラぶら下がる怪盗。

明らかに表通りの視線を独り占めにしている。

 

うわーん!!、センセー!!高いよー怖いよー!!!!

「 いつも真夜中に屋根を走ってるのはどこのどいつだろうね!! 」

「 ・・・(全くだーッッ・・・Σハッ←ドクター、我に返る) ほ、ホームズ!!一応彼、怪我人だから!!(しかも表通りって目立つ

ッッ;) 」(わたわた)

「・・・・・・(チッ)」

不満そうながらもスルスルと怪盗を引き上げにかかる探偵。(不満・・・? 『チッ』・・・って??!

縄をようやく解いてもらって一息つく怪盗。

そしてツッコミ疲れて脱力するドクターと今ひとつ物足りない表情で縄(一束)を懐に収める先生。

「 あ、あれ・・・? 」

途端、床にへたり込んでしまうルパン。

「 だ、大丈夫かい??ルパン君??!! 」

慌てて駆け寄ってくるワトソンに、ルパンはきょとんとしたが次の瞬間にはあっけらかんと笑ってみせる。

「 ヘーキヘーキ!! 力抜けただけ〜♪ 」

 

「 アルセイヌ。 」

 

頭上から降り注いだ厳しい声音に驚いて顔を上げるも、すぐに視界が回って。

気づけばホームズの肩に担ぎ上げられていた。

「 ??? せ、センセー?? 」

そのままホームズの部屋まで運ばれ、ベッドに下ろされる。

「 傷が治るまでベッドから起き上がらないこと。いいね? 」

「 もうダイジョー・・・ 」

「いいね?」(めっちゃ微笑みながら★)

「 ・・・・・・ぁぃ・・・ 」(センセイが怖いよう・・・)

 

 

・・・ぼくはそれを毎日間近で感じてるんだよ、ルパン君・・・・・・

 

 

一人遠くでその様子を見ていたドクターの背中が黄昏てるのを見たものは誰もいませんでした。(幸いなことに)

 

 

 

それから傷が完治するまでのおよそ二週間。

ベッドの上で、動けなくてウズウズしてる怪盗と、脇でその様子をただひたすら眺めている探偵の姿があったんだとか。

 

 

 

犬の猫が怪我をして

屋根の上でうずくまる猫を見つけて

犬はただただ吠えるだけ

『心配している』自分の気持ちを

この自由奔放な猫にどう伝えたらいいのか

わからないから、吠えまくる

それは『言葉』を持つ者ゆえに――――――

 

 

END

 

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イチヒトさんからのリク、「ルパン怪我、手当てするワト、心配するホムでギャグ」でした!!

ああ〜(泣)すみませんすみません、イチヒトさまぁ〜〜(T△T)

あうう、水仙にギャグは不向きなようです・・・

しかも冒頭めっちゃシリアスだし・・・なんかほのぼの風味に。

・・・精進します(涙)

あ、ウチのワトはここぞ!!とゆーときにルパンのことを『アルセイヌ』と呼びます♪

今回はただこれを言わせたかっただけだったり(殴!)

『アルセーヌ』じゃなくて『アルセイヌ』!!

ここポイント!!(笑)

とゆーわけでこれでよろしかったらお持ち帰りください・・・(滝汗)

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