「んで?そのカグヤヒメってヤツは結局何しに来たんだ?」
「え?」
そういえばそうだ。
かぐや姫って、何しに来たんだろ?
恋人の質問に、ハルヒは困って首を傾げた。
「あ〜〜〜・・・っとね〜〜〜〜〜」
思い出そうとして必死に記憶を辿る。
たしか聞いたことがある。かぐや姫がどうして月の世界からやって来たのか・・・・・
「あッ!思い出した!!」
突然大声で叫んだので恋人がおわっと驚いて身を引く。
「えっとね、たしか月の世界で悪いことして、罰としてこっちの世界に来たんだって」
んで、決められた滞在期間を終えて月に帰っていったんだよ、たしか。
思い出したあやふやな知識を恋人に告げると、何故か恋人は目を見開いて。
「月に住んでる奴らは悪ぃことしたらこっちの世界に寄越されるのか?」
「うーん・・・このお話だとそうなる・・・のかな??」
なにぶん遠い昔に作られた話で作者が誰かもわからないような代物。
ハルヒだって近所のおにいさんから読み聞かせてもらったぐらいの認識しかない。
うまく答えられなくてあ〜とかう〜とか唸っている間にも、恋人は真剣な顔で何か考えている。
恋人の真剣に考えている時の眼差しは綺麗だなあとハルヒは思う。
「じゃあ・・・こっちで悪ぃことしてんのがバレたヤツは月に送られるってことだよな・・・・」
「へ?」
何を言うかと思えば。
あんな真剣な顔してそんなことを考えていたのか。
呆れて肩をストンと落としてしまったハルヒにも目もくれず恋人はまだ何かブツブツ言っている。
「・・・てことは、だ。法律的にはおれも犯罪者だから・・・・バレたら月流しか?・・・・困るなぁ」
んなことにならないとは思うんだけどね。
「別に月流しになってもいーじゃない。ジメジメ薄暗い趣味の悪い独房なんかよりよっぽどマシだと思うんだけど」
「いやダメだろ」
即刻否定の理由がわからず眉を寄せて首を傾げる。
「だって独房は脱獄すりゃオマエにすぐ会えるけど、あの空に浮いてる月になんて流された日にゃ、早々簡単にはオマエに会えないだろ」
〜〜〜〜〜ッ、こっの天然のタラシはこれだから〜〜〜〜〜ッ////
急速に顔が熱り出すのを感じながら、しかしハルヒはそうだと思う。
あのかぐや姫も、月に帰るのに何年もの年月をかけたのだ。美しい女の年頃になって、その十五夜の夜にようやく故郷の月に還された。
「・・・・まあ、そうね。あんなに遠くちゃ、ね」
西の空からの夕焼けが窓から入ってくるのが眩しくて、くるりと後ろに顔を向けると
向かいのちいさな窓から、今まさに昇って来たばかりの東の白月が見えた。
「それに!月なんかに行ってアタシ以外の女にうつつを抜かしでもしたら一生帰って来てくれなさそうだしね」
ニヤリと笑って恋人を見る。
「ああ?!おれがオマエ以外の女に惚れるワケねぇだろ!!つか惚れたとしても帰るトコにオマエがいるなら絶対帰ってくるっての!!」
心外だとばかりに恥ずかしいこと──嬉しいことを言ってくる恋人。
───かぐや姫はこちらの世界の人々との別れを最後まで嘆いていた。文を交し合った帝とも、最後まで。
それでもやはりかぐや姫は月に帰っていった。
ひょっとしたら、かぐや姫には月に想い人がいたのかもしれない。
自分の帰る場所に想い人がいる。
だから、かぐや姫は月に帰って行ったのだろうか。こちらの世界の人々との別れを泣く泣く惜しんで、それでもなお。
「つか、おれは月流しになんかされねぇからそんな心配いらねぇよ」
「なんでならないのよ」
「だっておれはサツに捕まえられるよーなヤツじゃねぇもん♪」
だから、月には行かない。
ずっとオマエに会えるトコにいる。
「・・・・アンタってほんっとーに恥ずかしいヤツよね」
ハルヒは再び自分の顔が熱くなるのを感じた。
東の空から昇って来た白月が、夜の暗さを味方につけて金色に輝き始めていた。
END
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たしか咎があって地球に流されて来たんじゃなかったかな〜〜〜^^;
しっかり古文で学んだワケではないのでちょいとあやふやですが。間違ってたらゴメンナサイ;;;
6話目まで来るとハルヒの「恋人(?)」が「恋人」に(笑)
ちょっとは前進?がんばれリパー^^
てゆーか内容読み返したらワタシが恥ずかしくなっちゃったよ・・・!!なんだこの甘甘らぶらぶっぷりは!!(爆!)
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