2days.

 

 

「まったく!この馬鹿!!」

 ドクターストップを無視して退院して来るなんて!

 憤慨したレストレイドがグレグズンの襟首を掴んでスコットランドヤードの廊下をずるずると引きずっていく。

「はいごめんなさい。馬鹿です」

「黙ってろこの馬鹿!(怒)」

「はい…」

 廊下ですれ違う人たちが『ああ、いつもどおりだ』と思いながら

 目を逸らしていることなど、この恋人二人は全く気づいていなかった。

「医者は必死で止めたそうじゃないか!」

「…だって」

「だってじゃない!(怒)」

 ずるずると愚図るグレグズンを引きずりながら、レストレイドは医務室の扉を勢い良く開けた。

「ほら!寝てろ!!」

 ぼすん!と盛大な音を立ててグレグズンはベッドに押しつけられた。

 一応、ドクターストップを無視して出てきた病人なのだが。

「レストレイド、乱暴…」

「うるさい」

 レストレイドはぴしっと言い放つと毛布を投げた。

「寝てろ。いいな?」

 そう言い置いてベッドの側を離れようとすると、グレグズンが慌てて起き上がってレストレイドの腕を掴んだ。

「?グレグズン?」

「あ――…っと―――」

 グレグズンはしばらく視線を彷徨わせ口を濁らせていたがとうとう勘念したように口を開いた。

「―――…淋しいんですケド。」

「は?」

 レストレイドは呆気に取られ、つい間抜けた声を上げてしまった。

「だからー…」

 グレグズンが情けない声を上げる。

「淋しいから。側に居て欲しいんだケド。」

 いつになく気弱なグレグズンに、レストレイドははたと思い当たった。

 体調を崩して伏せっているときというのはどうしても心細くなるものだ。

 グレグズンが入院中は弱っているところなんて見たくなくて一切見舞いに行かなかった。

 そしてそんな彼が戻って来たのはつい昨日。

 彼が居なくて自分ばかり淋しいと感じていたが―――

 

 そうか。こいつも淋しかったのか。

 

「わかった」

「レストレイド?」

「早く寝ろ。ここに居るから。」

 掴んだ手をきゅ、と握り返されグレグズンは一瞬きょとんとしたがすぐにほっとしたように全身の力を抜いた。

 やがて二つの寝息が医務室を静かに満たす。

 

 そして次の日、レストレイドはグレグズンにねだられてグレグズンの療養に付き合うべく休暇を取ったのだった。

 

 

 END
 名無しさんに献上したグレレス。
 以前名無しさんに頂いたグレ怪我入院ネタの後日談です。
 名無しさんに日頃の感謝をこめて。

 ブラウザバックプリーズ!

 07.04.28.TOWEL