私の恋した赤頭巾
私が愛した赤頭巾
きみの名前を呼ぼうにも
呼ぶ名を知らない、赤頭巾。
『狼の恋した赤頭巾』
赤頭巾はお遣いに。
きみの呼び名そのものをくれた森の奥のおばあさんのお見舞いに。
葡萄酒とケーキの入った籠を持って
ひとりでお遣い、赤頭巾。
見失うことは無い、赤い頭巾。
おかあさんから
知らない人と口を利いてはダメ。
寄り道もダメと言われたのに。
「・・・・・寝てる。」
あっという間に道から逸れて、花を摘み出した赤頭巾。
そうかと思えば赤い頭巾が動かなくなって
どうしたのかと、そっと近寄ってみれば。
手にいっぱいの野の花を抱えて眠っている。
すやすやと眠る赤頭巾を抱き起こすのは、一匹の狼。
すわ食べるのかと思えばそうではなく。
小さな腕の中から花束をそっと取ると、お遣いの籠に入れてやっている。
そんな狼の肩には小鳥がとまり、足元にはウサギがちょこんとくっついて様子を見守っている。
肉食の狼に対して、それはとても違和感のある光景だった。
あまつさえ肩の小鳥は羽を広げ、毛づくろいしている。
だがそれもこの狼だからこそ。
言ってしまえばこの狼、肉を食さないのである。
肉食なのだから肉を食わないのはまずいような気もするが、この狼にいたっては肉を食べた方が体に変調をきたすらしい。
なので彼は他の狼との交流も無く、常に一匹狼だ。
よってそれを知る森の動物たちも、この狼──彼にだけは懐いているのだった。
さて、この子をどうしよう。
狼は少し困って途方に暮れた。
いまもし起こしてしまえば赤頭巾は狼である自分を見て怖がるだろうし
かと言って放っておけば他の狼に襲われてしまう可能性もある。(この森には他にも紅や青の変わった狼がいる☆)
思案に暮れる狼は、このとき足元のウサギたちがいなくなったことに気づいていなかった。
───どうしよう
この子の為にも、怖がられるのを覚悟でやっぱり起こした方がいいのだろうけど。
他の人間相手だったらこんなに悩まず、驚かれるのを承知で起こしただろう。
では何故この子に限ってこんなに悩むのか。
理由は簡単。
自分はこの子のことを好いてしまっているからだ。
狼が人間に恋をするなんて、なんてお笑いだろう?
それでも森の端の家に住むきみを見かけたときから
きみが七つのお祝いに、赤い頭巾を貰うまえから。
赤頭巾、と皆に呼ばれるようになる前から。
屈託無く、笑う。
───きみが、好きだった。
─────── ダァン!!!!
耳に白い音がして、気がつけば目の前に地面があった。
目が回るような空に、バサバサと鳥が羽ばたいて抜け落ちる羽が見えた。
・・・赤頭巾は突然鳴り響いた大きな音にびっくりして目を覚ました。
「大丈夫?」
するとそこには自分を心配そうに覗き込む猟師と黒い猟犬、そして。
自分のすぐ脇で血を流して倒れている一匹の狼。
「大丈夫?どこも怪我してない?狼に襲われる前でよかったよ」
ダメだよ、森の中で眠ったりしちゃ。
優しく猟師は赤頭巾を起き上がらせる。
すみません、と赤頭巾は猟師に礼を言った。
黒い猟犬はフンフンと狼の臭いを嗅いでいる。
胸からゆるゆると流れる血が土を、草を、花を、染めてゆく。
もうピクリとも動かない体/開いたままの眼
狼の蒼黒の瞳はガラス玉のように、しかしその奥に赤頭巾の姿だけを映していた。
「いいよ、ホームズ。そのままで。そんなに大きな狼、持っていけないし。」
そう言って猟師は猟犬を呼び寄せ、赤頭巾の手を取り歩き出した。
「どこかにお遣いだったのかな。」
「あ、はい。森の奥のおばあさんのお見舞いに。」
「じゃあ、途中まで一緒に行こう。ああ、それで籠に花がいっぱいなんだね。」
そう猟師に言われ、赤頭巾は籠を見る。
籠の中は、たしかに野の花でいっぱいだった。
でも。
あたし、摘んだお花を籠に入れてたかなぁ・・・・・
赤頭巾は小首を傾げ、ちろりと後ろを振り返った。
大木の影に消えて見えなくなる一瞬。
倒れ伏した一匹の狼のまわりに、小鳥やウサギたちが寄り添うように集まるのを、赤頭巾は見た。
私の恋した赤頭巾
私が愛した赤頭巾
赤い頭巾がよく似合う
そうしてついた呼び名が赤頭巾
みんながそう呼ぶ赤頭巾
だからきみの名前を呼ぼうにも
呼ぶ名が無いんだ赤頭巾
───だから最期にきみの名前を呼ぼうにも。
知らないんだよ、私が愛した赤頭巾。
END
* * *
バッドエンドスキーですみませ・・・・(滅★)
しかし、ホムワトコンビが少しは和らげて・・・!!(・・・くれてないか/笑)
ちなみに、猟師⇒ワト 猟犬⇒ホームズ でした^^
ホームズ、猟犬って・・・・!!!(笑)
これはもう一方のKさまのなりきりカプ100回答にポロッとあったので・・・(コソコソ☆)
てなわけでこれもクロッチに捧げます^^(え、要らない?)