プレゼントフォーユー
明日は六月一日。
自分の恋人、の誕生日である。
のだが。
「…………困った」
はぁ、と一つ息を吐いて天井を見上げるのはレストレイド。
彼がため息を吐く理由はたった一つ。
………決まらないのだ、恋人の―――グレグズンの、誕生日プレゼントが。
そもそも、恋人たる男は全然物欲が無さ過ぎるように思える。
最たる例が、以前にあの男が住んでいた部屋の様子だ。
自前の家具は何もなく、衣服だってほとんど何も持っていなくて。正直、呆れを通り越して怒ってしまった。
過去の誕生日はいつの間にか過ぎ去っていたし(自分は二回(?)も祝ってもらっているのに)、
だから今年の誕生日はきちんと祝ってやろうと思っていたのだが。思いもよらないところで躓いている。
もちろん、五月に入った辺りからそのことは考えていたのだ。
ただ、グレグズンに何か欲しい物があるか?と聞くと。必ず返って来る言葉が。
「レストレイド」
―――――――なのだ。
そして、その後必ず押し倒される。この間も、いや待て、こんなこと思い出している場合じゃない。
かっと頬に上がる血を落とそうと頭を振って、やれやれともう一度考え直す。
ちなみに参考にならないかと、ヤードの面々にも一応聞いてみたのだが。
返って来る返事は一様に。
「えーと、…レストレイドさんじゃないですか?」
「…お前だろ?」
「レストレイドだな」
「レスさんでしょー?」
というもの、だった。
くそ、なんで俺なんだ?!というか、お前ら一体どんな認識をしているんんだッ!!!!
とか思いながら、否定することが出来ないのが痛い。
「いいアイディア、あげましょうかー?」
ひょい、と耳に届いた声にばっと顔を上げれば、にこにこと笑うヤードの詐欺師がそこに立っている。
………なんだか酷く嫌な予感がする。
思わず逃げ腰になりながら、とりあえずなんだと口を開けばブラッドは怪しいくらいにこやかに微笑んで口を開く。
「レスさんが、裸にリボン巻いて『貰って、くれるか///?(←声真似)』とか言えば、喜んでもらってくれますよー」
「出来るかぁッ!!」
思わず怒鳴れば、えー、絶対喜びますってーと言いながら、にやりと笑ってそのまま詐欺師は消えた。
ああ、もうどいつもこいつも!!
そんな怒りなのか、羞恥なのか分からない気分で頭を抱えるレストレイドに、いつの間にか背後にいたアルセニーが口を開く。
「…そんなに悩まなくても、大丈夫だと思うぞ?」
「なんでだ?」
「奴は、お前に貰ったものならなんでも喜ぶ」
そういう奴だとやけに確信を持った口調で、言われてレストレイドはむぅと眉を寄せる。
正直、それが一番困ってしまうのだ。どうせなら一番喜ぶものをやりたいのに。それは皆目見当がつかないし。
「いっそ、お前が奴に一番あげたいものでもいいのではないか?」
「俺が、一番あげたいもの…?」
「その方が、しっくり来るだろう」
言われて、レストレイドは視線を天井に向ける。
…俺が一番上げたいもの、……か?
※※※※※
「ん……ひゃ、あ……ッ」
耳に届くのは自分のあられもない声と、相手の息遣いと、背中のベッドの軋む音と、居た堪れない卑猥な水音。
絡められた指先。自分の首の辺りにある相手の髪の毛が、夜の中でも薄っすらと金色に見える。
「…レストレイド?」
「……ん…っ、な、に……っ」
「いや、なんか今日、ずいぶん積極的?」
「……っ、ばか、あ……ッ」
「嬉しいから、俺はいいんだけどさ。明日大丈夫かなー、と思って」
言いながら、労わるように顔を覗き込まれてこめかみに唇が落とされた。
その刺激にぴくりと体を震わせて、目尻にじわっと涙が溜まる。
快感だとか色んな感覚がごちゃごちゃと混ざって、はぁっと息を吐き出して。
上にいる相手の顔を、夜に慣れた目だけれど、眼鏡が無いから不安定な目で見据える。
「…ぐれ…ず……ッ」
「ん?」
「今、なんじ………?」
「今? ……十二時、か?もうすぐ」
「何秒…」
「何秒って、……あと、十五秒くらい」
「…………数えろ」
「は?」
「いいから、数えろ……ッ」
不思議そうな声で、グレグズンがカウントを始める。
「十、九、八、七、六、五、四、さん、にー、いち」
ゼロ、の言葉を聞くよりも先にぐいと相手の顔を引き寄せて、そのまま唇を重ねた。
少しだけ驚いたような相手の瞳。
唇の主導権が相手に移行するよりも先に、唇を離して。
「……っ、誕生日」
「え?」
「………おめでとう」
吐き出した言葉に、相手はきょとんとした顔のまま瞬きをする。
「誕生日…?」
「………」
「俺の?」
「……お前以外に誰かいるか……」
覚えていなかったらしい相手に、やれやれと息を吐き出したところで、今度は相手から唇が重ねられる。
散々に舌先を絡めて、荒い息を吐き出して。離した顔をそのまま首筋に埋めたグレグズンが、ぼそりと呟く。
「………ありがと」
小さな声に、どういたしましての意を込めて少しだけ力を込めて相手の背中に手を回す。
とりあえず、したかったことの一つは果たせたと安心したところで、顔を上げたグレグズンからの声。
「ところで、これってこのままレストレイドが俺へのプレゼントってことでいいの?」
「は…ッ///?」
「いや、てっきり、そうなんだと思ったけど」
違うの?と小首を傾げて聞かれて、違うと首を振る。
え、ていうかレストレイドプレゼントくれる気なの?と聞くグレグズンの目を真っ直ぐと見据えて、一言言葉を吐き出した。
「…………お前には、教えてやらない」
「…?」
「教えてやらないけど、もうやった……」
「…? レストレイド?」
「まぁ、ある意味『俺がプレゼント』みたいなものか…?」
嫌だな、この言い方。と眉を顰めるレストレイドの声にグレグズンは相変わらず首をかしげたまま言う。
「なぁ、どういう意味?」
「……秘密、だ」
相手はまだ釈然としない顔をしていたけれど、そのままぐいと相手の顔を引き寄せて誤魔化すように唇を塞いだ。
※※※※※
言ってやらないけれど、グレグズンにプレゼントしようと決めたものがある。
言ってやらない時点で、それはプレゼントじゃなくて自己満足のようなものだが。
グレグズンは、時々だけれど。本当に時々だけれど、どこか消えてしまいそうな印象を抱かせるから。
だから、何がなんでも。帰ってくる場所になっていてやろうと思って。
絶対に言ってはやらないけれど、それが俺がグレグズンへの誕生日プレゼントだ。
※※※※※
「いいッ!歩いていくからっ!」
「だって、辛いでしょうが。昨日さんざん無理させちゃったし。ほら、ちゃんと抱えていくから。俺が」
「いいッ!せめて支えるだけにしろッ!!」
翌日の朝、そんな攻防があるのもまた一つのご愛嬌。
END
飾るのが果てしなく遅れてしまってすみませ・・・!いったいいつ貰っていま飾ったんだキサマなヤツですびばせ(死)
うん、グレさんはなんかもうレストレイドを戴ければ十分なんですよね(笑 顔)
グレグズンに言ってやらなきゃホントにミーをプレゼントになっちゃうYO☆レストレイド・・・!(笑)
そしてやっぱり姫抱っこで出勤(笑)
名無しさん、ありがとうございましたvvv
ブラウザバックプリーズ!
08.08.01.from:通りすがりの名無し人さん