たとえば。

 目が覚めたときに、腕の中にある温もりだとか。

 

 

 

 

 〜一番幸せ?〜

 

 

 

 最近、ふと思うことがある。

 特にこうして、腕の中にレストレイドがいることを実感しながら起きたりする時に。

 

「ん…?」

 

 寝ぼけた声が上がって、青灰色の独特の目が瞬きを繰り返す。

 ぼんやりとした、いつもより幼く見える表情に笑いながら唇を額に落とす。

 

「おはよ」

 

「ああ…、…おはよう」

 

 最近、こういう日常に。

 よく思う。

 

 

 

 ヤードの捜査課。

 

 山積みに書類の溜まった危ういバランスのグレグズンの机。

 ぐらりと揺らいだ、書類の山。

 

「あ」

 

 呟いた途端に、それが倒れた。

 書類がひらひら宙に舞う。

 

「あーあ…」

 

 こりゃあ、大変だ。

 思いながら見下ろしていると、予想通りレストレイドがすっ飛んできた。

 

「グレグズンーーっ!!」

 

「はいはい」

 

「こるなる前に仕事を片付けろと、何度言ったらわかるんだーーーーっ!!」

 

 当たり前に怒鳴られた。

 その騒ぎにすっかり馴れきった(いや、慣らされたのか)警部連とヤードの捜査課の方々。

 

 なんだかんだと、書類を拾い集めてくれるホプキンズだとか。

 仕事を手伝ってくれる魔王だとか。

 呆れた様子で眺めながら、大きな身体を屈めて書類を集めるピーターだとか。

 いつの間にか傍らに寄って来て、からかいの言葉を掛けてくる詐欺師だとか。

 いまだに怒った様子のレストレイドを見て、一人でうなずく。

 

 そう、こんな日常だとか。

 

 

 

 それから続く、

 何気ない昼食の席や。

 昼下がりの喫煙室。

 午後の捜査課。

 

 視界の中に自分の見慣れた、青灰色がいてれくれると。それはさらに。

 

 

 

 

 

「…ずいぶん、機嫌がいいな?」

 

 家に帰り着いて、そう声を掛けられて顔をあげた。

 

「ん〜?そう?」

「気のせいかも知れないが…」

 

 言いながら、何かいいことでもあったか?と訊ねられて。

 うん、と首をかしげながら言う。

 

「なんか、幸せかも」

 

「は…?」

 

 突然の言葉に、きょとんとした顔のレストレイドの顔を見ながら言う。

 

「なんかさ。

 当たり前みたいに、お前がいて。

 職場にいけば魔王とかホプキンズとか、ピーターとか、詐欺師とかがいて。

 現場ではホームズさんとか、ワトソンさんとかがいて。

 

 なんか、それが日常なのが。

 

 すごい、幸せな感じがした」

 

 ぱちぱちと瞬きを繰り返す相手に、頬杖を付きながら言う。

 

 

 

 

「今死んだら一番幸せかなーーー、とか…思ったり」

 

 

 

 あまりにも自然に零れ出た言葉に、あ、と気が付いた途端に。

 相手の眉が顰められた。

 

 つかつかと近寄ってくると、頭をばしんと軽く叩かれた。

 

 

「…痛い」

 

「馬鹿」

 

 呆れたような嘆息と共にそう言われて、視線を上げると苦笑のようなものを浮かべたレストレイドが居た。

 

「幸せなんだろ?」

「うん」

「なら、幸せなこと以外考えるな」

 

 第一、だな。

 

 そう少し困ったように眉を顰めて、レストレイドが言った。

 

 

 

「お前が死んだら、俺が幸せじゃなくなるだろ」

 

 

 

 きょとん、として見つめていると。相手の顔が、少し赤く染まってわざとらしい咳払いが洩れた。

 

 思わずくすりと笑って、相手の身体を引き寄せた。

 照れている顔を見ながら、キスを落とす。

 

 腕の中で自分の言った言葉に照れているのか、顔を伏せてしまった相手に言う。

 

「レストレイド」

 

「……なんだ」

 

「さっきの間違い」

 

「……ん?」

 

「一番幸せなのは、レストレイドとこうしてること」

 

 

 告げると腕の中の相手が、胸に顔を埋めながら耳たぶを赤く染めた相手が、小さく俺もだと呟いた。

 

 

 

 END

 うえへへへv名無しさんからいただきましたちょっとネガティブなグレさんでグレレスv
 水玉もネガティブなグレさん大好きですよ名無しさん・・・!!
 というか、グレさんはこうでなくちゃね!(え?)
 慰めるレスさんの方が大人な気がします。ちょっと初心なだけで。(笑)
 毎度毎度お忙しい中作品ご投下ありがとうございましたーーーッ!!!

 ブラウザバックプリーズ!

 07.06.16.from:通りすがりの名無しさん