「お?」

 ふらふらと歩いている 『それ』 を見つけて、俺はにんまりと口許を歪めた。

 

 御馳走だ!!

  

 

 

 * リッパーのネイチャーライフ☆ *

 

 

 

 「あれ? モーリス?」

 ふと気付いたら、彼がいなかった。

 てっきり後ろから付いてきてると思っていたんだけど・・。

 「あ〜〜〜。」

 またはぐれたか・・。

 たま〜に彼と遊びに来るここ、ロンドン。

 前回もはぐれて半日ばかり探し回った。 まあそのときは、彼はイギリスの探偵の所にいたのだけれど・・。

 次からは、絶対に縄付けて歩こう。

 フランスの怪盗は秘かに決意して、やれやれと溜息を吐いた。

 

 

    ×××

 

 

 初めて 『それ』 を見かけたのは何ヶ月か前。

 そのときは、月の色を映したかのような金糸に、透き通るようなウォーターアイの綺麗な男と一緒だった。

 正直最初に目がいったのはその金髪の男の方で。

 でも、その男の数歩後ろを遅れて歩いていた 『それ』 を見つけたとき、俺の目は 『それ』 に釘付けになった。

 

 大理石って、喰えるのかな・・?

 

 夜を宿したような漆黒の髪に蒼黒の瞳。 それらがまた肌の白さを引き立てている。

 すぐに手を出さなかったのは。

 その連れの男が見掛けとは裏腹に、匠が精魂込めて造り上げたかのような白刃の刃の鋭さを備えていたから。

 いくら 『切り裂き』 の異名を取る俺でも、そう迂闊には近寄れない。

 好奇心は疼いたが、すぐに人混みに紛れてしまったそいつらを、俺が追うことはなかった。

 それが・・。

 

 迷子か?

 

 うろうろきょろきょろと、何かを探すようにふらふらと歩いている  『それ』  を見つけて、俺は内心呆れた。

 様子から見て、多分この間の男とはぐれたのだろう。

 だが、人捜しにしろ迷子にしろ。

 何だってこんな人気のない裏路地に入り込んで来るんだ?

 ・・・・・・・・・・・・・。

 ま、いっか。

 御馳走だ!!

 

 

 ×××

 

 

 「え? 先生方のところにも来ていませんか?」

 彼とはぐれた通りを一通り捜し終わって、 もしや と思いベーカー街221Bへ寄ってみた。

 「うん。 来てないよ? もしかしたら、どこかでまた立ち尽くしているのかもよ。」

 こないだは、僕が見つけるまで5時間近く外で立っていた。

 と、ドクターは微苦笑した。

 はは。 お世話かけます。

 「出来るものなら、急いで探し出した方がいいな。」

 不意に探偵が口を挟んだ。

 「ああ、そうだね。」

 「?」

 僕が怪訝な表情をすると、二人は顔を曇らせ視線を交わした。

 何?

 何だ?

 「最近・・ね。」

 ドクターが そろり と話し出した。

 「彼の犯行が頻発しているんだよ・・。」

 「彼?」

 「名前ぐらい聞いたことはあるだろう。  『ジャック・ザ・リッパー』 だ。」

 「!」

 「ルパン!?」

 ドクターの声が僕を追ったが、そんなことには構っていられなかった。

 その名を聞いた途端、総毛立つような嫌な予感が全身を貫き、僕は部屋を飛び出していた。

 モーリス・・・!!

 ああ。 何事も、なければいいが・・。

 一体きみは。

 どこにいる?

 

 

  ×××

 

 

 「レーア! ミーディアム、ウッエルダーン!!」

 気絶した 『それ』 を肩に担ぎ上げて歩きながら、俺はうきうきと口ずさんでいた。

 捕獲だ、捕獲だ! 御馳走だ!!

 最初後ろから擦り寄ったときは、いきなり回し蹴りを喰らいそうになってびっくりしたが、

 ふらり と身を躱して片手で 『それ』 の首を鷲掴みにし、ちょっと力を入れたらすぐ落ちた。

 食事のための狩りはあっと言う間。

 あとは捌いて調理して食べるだけ。

 さぁてどうやって食べようか?

 そういえば、新鮮な食べ物は何でも生が一番だ! と聞いたことがある。

 何て言ったっけ?

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 !

 そう!

 サシミだ!!

 「よし! サシミだっ! サシミにしよう!」

 素晴らしい思い付きに、俺はまたもやうきうきと口ずさみながら廃屋目指して突っ走った。

 「サシミ、サシミ、サシミ〜っ!!」

 あんまりわくわくしてたもんだから、物陰からこっちを覗く怯えた目を、俺は放置することに決めてしまっていた。

 まあ、放っといても障りはないだろ。

 あったらあったで、また楽しみがひとつ増えるだけだ。

 

 

  ×××

 

 

 どんっ!!

 

 「お!?」

 モーリスを探して足早に歩いていた僕は、突然脇道から走り出してきた子供とぶつかった。

 正確にはぶつかられたわけだけど、子供は謝りもせずにまっしぐらに走り去っていく。

 「おいっ!」

 子供相手に大人げなくも かちん ときて。

 でも、何故かその子供の妙に蒼褪めた顔が気になった。

 「こら! ちょっと待て!!」

 こういうときは、直感を信じたほうが正しい。

 僕は、ともすれば人混みに掻き消えそうな子供の姿を追って走り出した。

 

 

  ×××

 

 

 裏路地のあちこちに点在している廃屋のひとつに入り込んで、俺はその冷たい床に 『それ』 を降ろした。

 ことり と無機質な音を響かせて、身じろぎひとつしない 『それ』 は、本当に彫像のようだった。

 「取り敢えず、捌かないとな。」

 言うなり ざっ と手にしたナイフで 『それ』 の衣服を引き裂いた。

 その下から現れたのは、やはり大理石の白。

 けれどそれに石の冷たさはなく、妙に艶めいて煌めきすら放っていそうだった。

 「まずは味見かな。」

 ぞくん とした高揚感を覚えながら、俺は ぺろっ と 『それ』 の首筋を舐め上げた。

 「ん・・・・」

 軽く絞めただけだから、そろそろ気付くかもしれないな〜 と、寝息のように声を洩らした 『それ』 を

 見やりつつ、その柔らかそうな唇に噛み付こうとして はた と止まった。

 だめだ・・。 サシミだ。 まずは生からだ!

 アブね〜 とぼやきながら、俺は 『それ』 の下肢をまさぐり、真っ直ぐ後孔へ指を突き入れた。

 「っあ!!」

 途端に。

 ぱちっ と音がしそうな勢いで 『それ』 が目を見開いた。

 あれ? お目覚め?

 覆い被さっていた俺とばっちり目が合って。

 俺は にやり と口角を上げた。

 

 「頂きます。」

 

 次の瞬間、指を引き抜き穿つように 『それ』 の中に押し入った俺に。

 『それ』 の口から、凄まじいほどの悲鳴が迸った。

 

 

  ×××

 

 

 「っあ、ぁうっ! やっ・・・あう、っぅう・・!」

 魚のように仰け反りしなる身体。 喉元からは切れ切れの悲鳴。

 顔は蒼褪め、身体からも血の気が引き冷たくなった様はまさに大理石。

 押さえ込んだ下肢は がくがく と、震え始めていた。

 「やっ、ぁあああっっ!!!」

 ふむ・・・。

 ま、確かに活きはいい。

 苦痛に歪む表情も、恐怖の混じる悲鳴も、この身に心地良くはあるものの。

 でも・・・。

 あんまり美味しくないかも・・。

 前戯もなく抉ったそこはキツ過ぎて、思う存分食い散らかすというわけにはいかなかった。

 やっぱり、味付けは必要だな。

 せめてカルパッチョぐらいには・・。

 獲物の狂態に昂った己を取り敢えずその中に吐き出して。

 

 よし! 味付けだっ!!

 

 

  ×××

 

 

 「ぁ・・」

 『それ』 の頬を べろり と舐めて見やれば、 ぼぅ っとした瞳で 『それ』 が見上げてきた。

 「だ・・れ・・・?」

 散々叫び散らして掠れた声が俺に問う。

 「誰でもねーよ。」

 「・・っん。」

 にんまり と頬を上げ、 『それ』 の唇に噛み付いた。 思った通りの上質な味わい。

 「ふっ・・んんっ!」

 逃げる頭を両手で固定し、藻掻く身体を身体で押さえ付け、跳ね上がる両足に足を絡ませる。

 「ふぁっ・・やっ、あ!」

 一旦唇を放してやれば、悲鳴と共に開かれたそれに、すかさず舌を差し込んだ。

 「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

 逃げる暇さえ与えずに、舌を絡めとり引きちぎらんばかりに吸い上げる。

 思う存分口腔内を蹂躙して、ふと目を開ければ、視界の隅に 『それ』 の ぎゅうっ と瞑られた目尻から伝い落ちる涙が見えた。

 ふん と鼻で嗤い尚も堪能していると。

 「?」

 ぽすっ と、何かが後頭部に当たった。

 「?」

 ぽすぽすぽすぽすぽすぽすぽすぽす・・・

 何だ?

 思わず顔を上げ振り返ると。

 ぺちっ。

 「?」

 今度は額に何かが当たった。

 「!?」

 即行で顔を下に向けると。

 ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 「は?」

 頭も身体も足も押さえ込まれた 『それ』 が、唯一動かせる両手で、必死になって俺の額をぺちぺちと叩いていた。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 「ぶははははあっはははははっっっ!!!」

 もっ、もしかして! もしかしなくても抵抗のつもりか!?

 「おかしーーーーーーーっっっ!!!」

 ひいひい言いながら 『それ』 の腹の上で笑い転げていたら、 『それ』 が むう と睨み上げてきた。

 「面白れぇっ! ま、確かに彫像ではないわけだ!」

 「?」

 俺の言葉に きょとん とした 『それ』 に、俺は にっ と意地悪げな笑みを浮かべた。

 「抵抗したんだ。 覚悟しろよ?」

 

 

  ×××

 

 

 ぴちゃり と、水っぽい音が静まり返った廃屋に響いた。

 「ふあ・・・っ」

 「ほら、しっかり舐めておけよ。」

 『それ』 の口の中で指をバラつかせて、俺は 『それ』 の柔らかな胸元に噛み付いた。

 「んん・・っ」

 白い滑らかな肌に、くっきりと歯形が刻まれる。 その円い輪っか模様は、既に至るところに散らばっていた。

 と・・。

 かしっ・・

 「?」

 かしかしっ・・・

 「・・・・・・・・・・・・。」

 今度は何だ?

 「おい・・・」

 見やると、 『それ』 がまたもや泣きそうな表情で口の中に突っ込まれた俺の指にかじり付いていた。

 多分、こいつなりに必死なんだろうけど、これはこれでかなり食欲増進効果がある。

 「美味いか?」

 聞けば、 ふるふる と首を振る。

 「あのな。 俺の指は木製だ。 普通の指とは違うんだよ。

 かじられたところで痛くも痒くもねえ。 分かったら素直に舐めてろ。

 たっぷり湿らせておかないと、あとが辛いぜ?」

 何たって、木はなかなか潤わねーからな?

 親切に忠告してやったら、俺の指にかじり付いたまま何故か固まった 『それ』 の歯をこじ開けて、俺は一気に4本突っ込んだ。

 「!?」

 思わず仰け反った 『それ』 の喉元に噛み付いてきつく吸い上げる。

 「っあ!」

 歯形と一緒に散った綺麗な血色。

 へえ。 レッド・マーブルか・・。

 いいかもしれない。

 ふん と、満足げな笑みを浮かべて、俺は白い大理石を赤く染め上げる行為に没頭した。

 

 

  ×××

 

 

 顎の下から喉、首筋から鎖骨、胸元。

 ちょっと這い上がって頬骨の辺りから唇はもちろん貪り尽くして口許、顎のラインから耳を舐め上げてその後ろまで。

 喰らい尽くしてうん、完璧。

 気付けば 『それ』 の、恐怖と嫌悪で強張っていた身体も くたり と弛み、夜空を映した瞳にも僅かに愉悦が見て取れた。

 「ふーん。 美味そうになってきたじゃん?」

 唇を堪能する際に引き抜いた指をもう一度突っ込んで湿らして。

 「さぁーて、ここはどうかな?」

 ぐいっ と 『それ』 の両足を押し開いた。

 「! やっ、あ!」

 はっとしたように身を起こし逃げようとする 『それ』 を押さえ付け、うきうきと 『それ』 の後口に ずぶり と指を二本差し入れた。

 「ふあっ!」

 びくん と 『それ』 の背がしなる。

 最初に半分とはいえ入れていたせいか意外と楽に銜え込まれて・・。

 よし、まだいける!

 「ひっ・・・やっ!」

 3本目を突き入れてばらばらと動かせば、甘い悲鳴が響き渡った。

 「ぁふっ・・ああ! ひゃ・・んんっあ・・・!」

 うん。 そろそろテリーヌくらいにはなったかな?

 よし! 今度こそ!

 「頂きます!」

 食事前の挨拶は忘れずに、 『それ』 の中に深く突き入れれば。

 「や! ぁあああああああああっっっ!!!」

 うん。 サシミより、全然美味いっ!

 「あっぁあ! はぁっ・・んっ、んっ! い・・やぁ、ん! っう・・」

 『それ』 の唾液と最初に放った俺の液がオイル代わりになったらしい。  

  ぐちゅっぐちゅっ と音を立てながら、結構スムーズに喰い込めた。

 「ひ・・は! ぁああっんん! や、やっ・・ら・・う、る・・・!」

 「くっ・・」

 「やっ、やぁああ! らう・・る! らうー・・るっっ!!!」

 「?」

 何だ? とは思ったものの、勢いづいた動きを止めることはままならなくて。

 「ひあっ! あ・・ああっ! っあ、んぅ! いっ、やああああああああ!!!」

 狂ったように悶える身体を押さえ付け最奥まで貫くと、 『それ』 はがくがくと腰を揺らし背を折れんばかりにしならせて果てた。

 「っ・・!」

 途端に きゅっ と締まった後孔に、俺も力一杯 『それ』 の中に熱を吐き出した。

 

 

 「なあ。」

 ぱしぱしと気を失った 『それ』 の頬を叩いて気付かせると、俺はさっきの疑問を口にした。

 「 『らうーる』 って、誰?」

 「・・・?」

 ぼんやりとした瞳をしぱしぱと瞬かせる 『それ』 に。

 あ、もしかして無意識?

 「ふぅん。」

 ま、いいけど。

 「っぁ・・」

 ぱくん と 『それ』 の胸の突起を頬張って舌で転がしながら考えた。

 「ひゃ・・ぁん。」

 一旦火が点いたらなかなか冷めないのは大理石でも一緒らしく、ちょっとした刺激でもう腰が震え始めている。

 このままオードブルからメインに昇格かな・・。

 ぷっくりとしたそれを舌で押し潰し歯で軽く啄み、 くにゅくにゅ と捏ね回してふと思い付いた。

 「なあ。」

 「・・ふっ、・・っあ、んっ。 ・・?」

 「 『らうーる』 って、お前と一緒にいた金髪のやつ?」

 「んんっ!・・いやっ・・」

 むかっ

 「答えろよ。」

 「ひっ! ぁあああああっ!」

 喰い終わったばっかりで、まだ熱を持っていたそこに、俺はまたもや突き入れた。

 「やっ! やあぁああ! らっ、うーるぅっ・・!!」

 やっぱり。

 感情とは裏腹に、その瞳は情欲で濡れきっているのに。

 それでもその目を更に涙でいっぱいにして、その端からぼろぼろと零しながら 『らうーる』 とかの名を必死で呼ぶ。

 何か、もっといたぶりたくなってきた。

 「なあ。」

 「っうく・・・んぅ! ひあっ・・」

 腰を、ゆらゆらと揺さぶって追い立てながら、俺は 『それ』 の耳元で囁いた。

 「そいつも、美味そうだったな〜?」

 「!?」

 途端に、 『それ』 の瞳が大きく見開かれて俺を真っ直ぐに見つめた。

 「デザートは、そいつでもいいかもな。」

 「!!」

 固まった 『それ』 に、 にやり と嗤いかけてやると。

 「や。」

 「ん?」

 「や〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」

 ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか・・・・・・

 「・・・・・・・・・・・・・。」

 ほんっと、こいつ面白ぇえええっ!!

 くっく と腹筋を震わせながら、俺は よっ と 『それ』 を繋がったまま抱き起こし腰の上に抱え上げた。

 「ひぃあっ!!」

 俺の腰にまたがって、重力のままに突き上げられ、 『それ』 は足で床を蹴り腰を浮かせかけた。

 それを ぐいっ と押さえ付け根本まで差し込めば、仰け反り泣き叫んで俺を突っぱねる。

 「やっ! やぁああああ! っふあぅ・・っう、んぅっ!!・・」

 「なあ。 あいつって、どんな味?」

 「!」

 ぱたたっ と、俺の頬に 『それ』 の涙が降り注いだ。

 お?

 ぴたっ と動きを止め、それでもかたかたと小刻みに打ち震えながら、

 僅かに逡巡していた 『それ』 の腕が、おずおずと俺の背に回された。

 「ふっ・・・うっ・・」

 嗚咽を漏らしながら、それでも自分を縛るかのように俺にしがみついて。

 ふ〜ん?

 それじゃあ遠慮なく。

 

 「頂きまっす!」

 

 デザートもフルーツも、そして食後のコーヒーまで。

 『それ』 がフルコース全てを揃えてくれるのなら、それはそれで構わない。

 もちろんそれは、俺が満足するまで。

 何度でも・・。

 

 

  ×××

 

 

 ああっ! まったく、あのクソガキ!!

 さっさと話せばいいものを、強情張りやがって!!

 おかげでとんだ時間のロスだ!

 ぶつぶつと呟きながら、僕はロンドンの裏路地を突っ走っていた。

 直感のままにあの子供を追い掛けて、捕まえて吐かせてみれば案の定。

 

 『紅い悪魔が彫刻を担いでいった。』

 

 なかなか口を割らなかったのは。

 『紅い悪魔の話をすると、話したやつも殺される』 から。

 だから思わず大人げなくも。

 『金色の悪魔は知っているかい?』

 と、子供を脅してしまった。

 ああ! それにしても何だって、彼はこんなところに入り込んでしまったのか。

 それすらも僕にとっては最大の謎だ!

 頼むから! どうか無事でいてくれよ、モーリス!

 

 

  ×××

 

 

 うん! 満腹!!

 すっかり満足して、俺はぼろきれのように横たわる 『それ』 を見下ろした。

 全身くまなく至るところに歯形が散りばめられ 

 (首の後ろや背中はもちろん、足の付け根から腿の内側、脹ら脛から足の甲まで。) 、

 清廉なまでの白い肌は淫らに朱く染め上げられていた。

 何度も穿ったそこからは、白濁とした液が収まりきらずに溢れ出し、とろとろと床に伝い落ちている。

 顔は 『それ』 の涙と唾液と、銜えさせ放った俺の精液で汚れ、悲鳴から喘ぎに変わった声も最終的には掠れて出なくなっていた。

 見事にぐちゃぐちゃだなー。

 ま、カスしか残ってないと思えば、俺も綺麗に食べた方だよな。

 それこそ骨の髄までしゃぶり尽くしたように・・。

 最後に突っ込んだときは 『それ』 の意識はもうなかったけれど、

 それでも食後のコーヒーにしては、刺激で反射的に蠢き締まる 『それ』 の内部には満足だった。

 さて。 どーするかな、これ。

 始末しとくか・・?

 バラバラにして、そこら辺に放り出しておけば、誰にも知られずに腐っていくだろう。

 うーーーん。

 「?」

 そのとき、ふと鋭利な白刃の煌めきを感じた。

 「何だ。 お迎えか?」

 呟いて。

 「うん。 そうだ! そうしよう!」

 俺は にんまり と片頬を上げた。

 そうして 『それ』 をそのままに、あいつがここに辿り着く前に姿を消した。

 だって。 そうだろう?

 野菜だって食い残りを土に埋めれば芽が出るんだ。

 『それ』 もまた放流してやれば、元気に肥えて、もしかしたらまた一段と美味くなって、還ってくるかもしれない。

 そしたらまたそれを捕獲して、美味しく頂けばいいだけの話。

 

 「俺って、あったまいーーー!!」

 

 うきうきと、俺はロンドンを走り抜けた。

 

 

  ×××

 

 

 後日。

 

 無事に廃屋で見つけ保護したモーリスは、その後丸一日眠っていて。

 ようやく目覚めたと思ったら、いきなり僕のシャツをたくし上げ、その黒いぱっちりと見開いた瞳で僕をしげしげと観察した。

 「モーリス?」

 何だろう?

 と首を傾げると。

 「う〜〜〜〜〜〜〜〜っ。」

 と小さく唸るなり、

 「良かっ・・・良かっ、たっ・・・」

 と、未だ掠れた声で嗚咽と共に何度も何度も呟いてしゃくりあげた。

 一体全体、何なのか。

 僕は途方に暮れるばかりで、安心したように泣きじゃくる彼の頭を 大丈夫だよ と、優しく撫ぜることしか出来なかった。

 

 

 

  * END ? *

 とゆーわけで続きは水玉が仕上げます。(ぇ?)
 ふふふふ、すぐりさんからいただいてしまいましたよ。
 リ パ ル ブ を !
 しかも学園Verじゃなくホントのリパルブをっ・・・
 あああああすぐりさんありがとうございますぅううううう!!!!!
 しかしこのお話のリパはウチのサイトで言う初期の頃のリパ臭くて懐かしかったです^^
 いつからあんな常識人になったのリパ(笑)  すぐりさん本当にどうもありがとうございましたーーーっ!!!!

 ブラウザバックプリーズ!

 07.06.07.from:すぐりさん