2月14日。
恋人達の聖なる日に。
…どうして、俺はこんなに悩んでいるんだろうか。
Sweet day
放課後。
自分が担当している教室に、書類ごと引きこもって早三十分。
机の上には手付かずの書類と――綺麗にラッピングされたチョコレートの箱。
そしてため息を吐きながら、その箱を眺めるレストレイド。
「…どうしようか」
呟くと脳裏に思い出すのは、見慣れた金髪。ライトグリーンの明るい眼。
――ああ、もう…。
こんなことで真剣に悩んでいる自分が、非常に苛々する。
なんで2月14日なんて日があるんだ、と過去の偉大な聖人にまで八つ当りしたくなった。
そもそも。
レストレイドは昨日までそんなこと覚えてすらいなかった。
ただ、たまたま。
昨日立ち寄った店先の、チョコレートを見つけて。
なんとなく、購入してしまったのが間違いだ。
そこでレストレイドの思考は同じ場所へと立ち戻る。
――渡せるかっ!///
誰に対してと言えば、もちろん日頃から人のことを翻弄してやまないとある生徒のことである。
何を考えたんだ、昨日の俺は!?
渡せるか?
いや、渡せないっ!
そもそも、俺とあいつはなんなんだ?
生徒と教師か?(←それにしては色々行き過ぎでは…?)
恋人か?いや、違うだろ(即答☆)
大体なんでこんなに悩んでいるだ、俺は…。
一つ頭を振って、思考を取り敢えず閉ざすために、箱を机の引き出しに放り込んだ。
ああ、いいや。
俺は昨日、精神状態がまともじゃなかったんだ。
持ち帰って自分で食べるさ。
無理矢理にそう結論づけたレストレイドが、ようやく仕事を始めようとした。
そこに。
ガラリと無造作にドアが開いた。
「センセー?」
思わずそのまま机に突っ伏した。そのまま勢いで額を打ち付ける。
…意外に痛かった。
「何やってるんですか」
お前のせいだ!
喉元まででかかった言葉を飲み込んで、痛む額を擦りながら怪訝な表情で立っているグレグズンを見やる。
「何かようか」
「用事がないと来ちゃいけないんですか」
「…別にそんなことは無いが」
正直、今はあまり会いたくなかったのだが。
「先生、今日も遅いんですかー?」
「ああ、まぁ」
「そーですか」
言いながらグレグズンがひょいと、缶を投げ渡した。
「…?」
「差し入れです」
それじゃあ、お仕事頑張ってください。
言いながら、ひらりと手を振ってグレグズンが出ていく。
…今日はずいぶん、あっさりとしてたな?
妙な違和感を覚えながら、ふと投げ渡されたまだ温かい缶に眼を落とす。
「……っ!?」
しばらくその缶を凝視して、次いで引き出しからチョコの箱を取り出すと、そのまま廊下に飛び出した。
「っ――、グレグズンッ!」
歩いていた後ろ姿を、腕を掴んで引き止めた。
「先生?」
どうしたんですか、と言う相手の鼻先にズイと箱を突き出した。
「やる」
「は?」
きょとんとした顔のグレグズン。
「やる」
呆けた顔で、グレグズンが受け取る。
「レストレイド、先生?これって」
その先の言葉が口から放たれる前に、レストレイドが叫んだ。
「〜〜〜〜っ!いらなかったら、捨てろっ」
気を付けて帰れと、顔を伏せながら言い放ち。
脱兎のごとく踵を返して駆けていくレストレイド。
廊下にぽつんと残されたグレグズンが、渡された箱を眺めて呟いた。
「捨てれるわけないでしょーが…」
絶対もらえないと思っていたから、わざわざ『差し入れ』しに行ったのに。
「…ありがとうゴザイマス、レストレイド先生」
口の端に、グレグズンが緩やかに笑みを浮かべた。
走り込んだ教室のドアを閉めると、そのまま膝を抱えるようにへたり込む。
勢いで渡したとはいえ、思い返しただけで顔から火が出そうだ。
「〜〜〜〜っ…!」
――…物凄く恥ずかしい…///
思いながら、先程グレグズンからもらった缶の蓋を開ける。
どうしてあの男は、普段は積極的なのにこういう時だけ控えめなのか。
そのことに、少し笑ってそのまま口元に缶を運んだ。
口の中に広がるのは。
まだ温かい、――甘い甘いココアの味。
Happy Valentine's day!
end.
* * *
名無しさんから頂いてしまいました・・・ッ!!
バレンタイン、in 学園!!!!
学園グレレスは裏の小ネタでちょっと出たぐらいだったかと思うんですが
そんなところを突いてくる名無しさんが素敵です☆むしろ大好きです!!(告白)
いざというときに控えめなグレグズンにレストレイドばりに胸キュンしまくってしまったことを懺悔します(爆)
ブラウザバックプリーズ!
07.02.14.from:通りすがりの名無し人さん