今なら恥ずかしさで間違いなく死ねる…。

 履き慣れない踵の高いハイヒール。腰のラインを強調する青いふんわりしたドレス。青い耳飾り。

 普段なら絶対に身につけることの無いものばかり。

 

 ――世にいう女装を、レストレイドはしていた。

 

 

 

 青いドレスと仮眠室

 

 

 

 時は遡ること数時間前。切り裂きジャックに対する会議の席で出た一案。

 囮捜査。

 案は悪く無いが、まさか民間人にそんなことをさせるわけにもいかず、取りあえず見送りとなったその案だが。

 その案を聞いたブラッドが不気味に微笑んだことに気が付かなかったのが、一番の失敗だった。

 

「すごい綺麗ですよ、レストレイドさん!」

  純粋に感動して言っているらしいホプキンズの言葉に、レストレイドは心の底から脱力した。

  女装させられて綺麗と褒められて、嬉しがる奴が一体どこにいるんだろうか。

  ピーターはレストレイドの姿を見ると、同情気味に肩を叩くと捜査に向かい。

  アルセニーは至って普通の顔をして事態を眺めて、そしてレストレイドに聞いた。

「レストレイド、服はどうした?」

「ブラッドに持っていかれた…」

  いきなり部屋の中に引きずりこまれると、わけも分からぬ内に着替えさせられ、あまつ化粧すらされた我が身がいっそ憎々しい。

  唯一の救いはグレグズンがこの場にいないことである。

「帰れない…」

  こんな格好で外に出るくらいなら、一生ここで生活したほうがマシだ。

  そんな思いで溜め息を吐くと、目の前の二人から同情的な視線が降ってきた。

「僕、ブラッド探して来ますね」

「取りあえず、資料室にでも隠れて置くといい」

  掛けられる言葉にますます自分が情けなくなる。

「…すまん」

  言って捜査課のドアへと体を向けると、ガチャリとドアが開いて。

  レストレイドが現在一番会いたくない相手――グレグズンが立っていた。

 

「ぐ…ぐれぐず……」

 

  一気に顔に血が上がったのが分かる。

 このまま、どこかに逃走でもなんでもしたいが、慣れないハイヒールでは絶対に無理な相談だ。

  ライトグリーンの目が緩く二、三度瞬いたのが視界の端に映った。

  情けない気持ちで下を向いた瞬間に、力強く腰が抱き込まれるように引かれた。

 

「ぇ…!?」

 

  驚く間もなく視界が反転する。抱き抱えられたのを自覚したのは、グレグズンが捜査課のドアを足で閉じた時である。

 

  一方、捜査課に残されたアルセニーとホプキンズは一瞬顔を見合わせると。

「…今日は仮眠室、使用禁止だな」

「…そうですね」

  という会話の後、立ち入り禁止通達を各課へと配布した。

 

  仮眠室に足を踏み入れて、さっさと鍵を閉めてレストレイドをベッドの上に横たえる。

「…グレグズン?」

  訝しげな声で名前を呼んだレストレイドに、そのまま覆いかぶさるようにして上になる。

「どしたの、この格好」

  聞いた途端に一気にレストレイドの顔が朱に染まった。

「…ブラッドが、無理矢理…」

  情けないのか恥ずかしいのか、真っ赤になって泣きそうな顔をするレストレイド。

  …だから、涙目で上目づかいはやばいっての…。

「なんでブラッドがこんな格好させたわけ?」

「…捜査会議で囮捜査の話が出て」

  あいつ、この格好のレストレイド街に立たせる気か。

  思って改めて、レストレイドを見下ろす。

  白い肌が青いドレスと際立ったコントラストをなしている。うっすらと施された化粧に、羞恥で赤くなった頬と潤んだ瞳。

  …やばいでしょ、これは。こんなんで街角に立とうものなら、三秒で襲われる。

「駄目」

「は?」

「絶対に駄目。つーか、俺が買う」

  一生分お前のこと、俺が買い占めるから駄目。

「…ぇ、は、ちょ…っ」

  何か反論を口にしようとするレストレイドの唇を、そのまま塞いだ。

「…っ、グレグズ…っ」

  青いドレスが体の下で波打った。

「いただきます」

  宣言して、そのまま首筋に顔を埋めた。

 

「…っあ…」

  はだけたドレスの裾から手を差し込んで肌を撫で上げる。

  体を竦ませて必死に声を殺す仕草や、きつく閉じた目の端から零れる涙が余計にこちらを煽る。

「…レストレイド」

  耳たぶをやんわりと甘噛みしながら、青い耳飾りを揺らす。

  ビクリと刺激に耐える体に、思わず見とれる。

「…ふっぁ…あっ」

  頼り無げに背中に縋っていた手が、きゅっと強くシャツを握ったのがわかる。

 漏れる甘い喘ぎ声と、自分の体の下で必死にそれを堪えようとするレストレイドがひどくアンバランスに見えて。

  何度も肌を重ねた相手なのに、まるで処女を犯しているような倒錯的な罪悪感に襲われる。

「…なんか、すごく煽られるんですけど?」

  狙ってる?

  などと尋ねれば、そんなわけあるかと青灰色の涙目が睨み付けてくる。

 …だから、それが煽ってるんだけどね。自覚ないでしょ?

  なんとなくそれが気に入らなかったので、そのまま唇に唇を重ねてやった。

  舌を絡めて貪るように深いキスを繰り返す。

「…ぐれ…っぐず!」

「ん?」

  キスの合間に漏れた声に少し口を離して顔を見る。

「…っまだ、昼…っ」

  うん、そうだね。

  でもそんな顔して言われてもねぇ?

「…レストレイド、今どんな顔してるか分かってる?」

「…? ひぁっ!」

  自覚が無いらしく小首を傾げたレストレイドの首筋に、仕置きとばかりに吸い付いた。

  そのまま手を滑らせてドレスの前を開けば、上気した綺麗な肌がそこにはある。

「…すんごくエロい顔」

  言いながら肌に吸い付いて無数に赤い痕を付けていく。

「…そ…な顔、してな…っ!だから…まだ昼だっ…てっ…ぇ」

「してる」

  第一、そんな顔してされて。やめられるわけ無いでしょ、お互いに。

「あっ…ん」

  肌に吸い付くよりも強めに、胸の赤い果実に吸い付く。

 わざと音が響くように舌を絡めると刺激した体は面白いほどよく跳ねた。

  つーか、普段より感じやすくなってないだろうか。衣裳のせいか、状況のせいかは知らないが。

  刺激を待ちわびているのか、刺激に怯えているのか。小刻みに震える体のもう一方の赤い果実を軽く噛んだ。

「…ひゃあ…んっ!?」

  仰け反る喉元を見ながら、胸に刺激を繰り返す。

「…ぅっ…やぁっ、ああっ…ぐれぐ…はぁっ!」

  片方を口で、片方を手で刺激し続けながらもう片方の手を下肢に伸ばす。

  ドレスの裾をたくし上げて下着をずり下ろすとぐっしょりと濡れたレストレイド自身がいて。

  やっぱり普段より感じやすいよなぁと思いながら、ちゅっと胸から口を離した。

  息が完全にあがっているレストレイドの背中に回っていた手を、ちょっとごめんねと外させて、そのまま膝の間に体を入れる。

  ああ、やっぱエロいは。させたのは自分だけど。

 汗ばんだ額とか、薄く開けられた潤んだ目とか、噛み締めた唇だとか。

 白い喉元や、赤い痕の残る胸元や、唾液でてらてら光っている赤い乳首や。

 乱れに乱れた青いドレスに、力なくシーツの上にある腕に、ぐっしょりと濡れた下肢に。煽られる、誘われる。

  本人は無自覚なんだろうが。

  そのまま足を大きく開かすと、ぐいと腰を顔の高さまで抱え上げた。

「…えっ…??」

  戸惑う声にかまわず濡れたそこに舌を這わせる。

 この体勢だとその様子もレストレイドに丸見えで、必死になって体をずらそうとするのを

 腰をしっかり掴んで阻止して、さらに丹念に唇を這わせた。

「ひ…ぁっ、やだ…ぁあっ、ぐれ…ず…っ」

  泣き声交じりの懇願。顔の前に両腕を交差させて、それでも体は素直に刺激に反応している。

「…いやなの?」

  聞きながら、びくびくと甘い蜜を一層垂らして、確実に快感を受けていることを主張しているそこに吸い付いた。

「…はぁあっ!?」

  嬌声と共に縋る場所を探すように両手が宙をさ迷って、結局強くシーツを握り締めた。

 青灰色の薄く開いた目から涙が伝う。

「いいよ、イって」

  口を離すと、限界だったらしいそこを強く擦り上げた。

「…ぃああああっ!」

  白い喉元を見せ付けるように体が仰け反った。それと同時に放たれた白濁した液体を後ろの蕾にじっくりあてがう。

  力の抜けた四肢が微かに強ばったのが分かって、顔をのぞきこむ。

「どうした?」

  聞くと蚊が鳴くような声でレストレイドが言った。

「…この、体勢で…入れるの…か?」

  腰を抱え上げて、膝の間に俺がいる格好。

「駄目?」

  首を傾げて聞くとさらに小さく相手が呟いた。

「…こわい」

「ん?」

「…不安定で、…こわい」

  そう言ってぎゅっと目を閉じるレストレイド。

  そんなに可愛いことをされて、それを看過できるわけが無い。

  すでに物欲しげに震える蕾に、舌を差し入れ丁寧に愛撫を施すと腰を下ろして、足を開かせた。

  紅い所有印に塗れた上半身の上に身を乗り出して、視線をあわせた。

「これなら大丈夫?」

「…ん」

  小さく頷いて首に縋るように腕を回すレストレイド。

  溶け切った蕾に自分のそこをあてがうと、くちゅりと卑猥な音がしてゆっくりと自身を飲み込んでいく。

「ふぁ…っああ…、ひゃっ…あ、ぐれ…ず…っああゃっ」

  耳元に吹き込まれる艶めいた声。

  それからレストレイドが気を失うまで、散々に貪るように抱き合った。

 

 

  後日。

「おい、詐欺師」

「なんですか」

「あんまレストレイドいじめんな」

「グレさんだって、楽しんだじゃないですか?」

「俺はいいの」

「仮眠室で気絶するまでヤってたくせに」

「聞いてたのか、お前は。だから俺はいいの。

 

  俺のものだから。

 

  いじめていいのも俺だけね」

「案外、グレさんって独占欲強くない?」

「ほっとけ」

  捜査課で詐欺師と保護者がそんな会話を繰り広げたのは、レストレイドの預かり知らぬことである。

 

 

 

 END

 * * *
 年明け一発目、頂いてしまいました。
 レストレイド女装ネタを!!(しかもプレイ!!/歓喜)
 年始から早々、どうもありがとうございます名無しさん・・・!!(羨望の眼差し)
 今年もどうぞうどうぞどうぞ(∞)よろしくお願い致します・・・!!
 ふとリパレス(●オパレスみたいだな)もいいなとか思ってしまっ(殴打)
 ぬおお今年も本気でよろしくお願いしますーーーッ!!!!

 ブラウザバックプリーズ!

 07.01.07.from :通りすがりの名無し人さん