春が来たようだ、友人に。

 思いながらデスクの上の仕事を片付けて、いつもの騒ぎに耳を傾けたのはアルセニー・ジョーンズ。

 

「グレグズンーーッ!!」

 

 友人の想い人であろう人物が、友人の名前を呼ぶ声を張り上げた。

 

 

 

友人と日常と自覚?

 

 

 

 もうヤード内で仕事の片付いたものは帰宅を始めるこの時間に。

 毎日、毎日よく同じような騒ぎを続けられるものだと内心感心しながら、騒ぎの方にアルセニーは視線を向けた。

 

 積み上げられた書類の山の中。

 デスクに足を投げ出すようにして、いつものヤル気の無さそうな顔に笑みを浮かべて座るトバイアス・グレグズンの姿が目に入った。

 そしてその前に立っているのは署内一、堅物で生真面目な男、ジョージ・レストレイド。

「どうして、お前はこう毎日毎日ッ!」

「お前も、よく毎日毎日怒鳴れるね。感心するわ」

「している暇があれば仕事しろーッ!」

 あまりにも日常ないつものやり取り。

 いつもはとりなしに入るスタンリー・ポプキンズも、

 呆れながらそのやり取りを耳に入れているピーター・ジョーンズも生憎今日は二人とも捜査でいなかった。

 ぜいぜいと息をしながら連日の仕事と寝不足で疲労の激しいレストレイドが言った。

「いいか!絶対に明日までには終わらせろよッ!?」

 青筋を立ててそう叫んで、くるりと踵を返そうとするレストレイドにグレグズンが声をかけた。

「…なぁ、レストレイド」

「なんだ」

 いま怒鳴ったばかりの相手に律儀にも返事をして、レストレイドが振り返った。

 その顔をじっと見て、何かを言おうとでも言うように口を開きかけたグレグズンの口は、

 結局音を生み出さずにいつものヤル気の無いようなへらりとした笑みを浮かべた。

「ん〜、別になんでもない」

「…変な奴だな」

 不審げにグレグズンを見据えてそう言い放つレストレイド。

「そーいえば足、どーよ?」

 話題を変えるようにグレグズンが口を開いたその言葉に、レストレイドが数日前の失態を思い出したのか詰まったような顔になった。

「…………別に、平気だ」

 素っ気無いその言葉に、グレグズンが相変わらずの声で言った。

「連れないな、折角お姫様ダッコ☆した仲なのに」

「あれはお前が勝手にやったんだろうがぁっ!」

 真っ赤になってレストレイドが叫んだ。耳まで見事に赤く染まっている。

「俺は降ろせと言っただろうがッ!あんな状態で署内を歩く奴がどこにいる!?」

「えぇ〜?俺とお前?」

「〜〜〜ッ、知るか!!」

 叫んで背中を向けて歩き出すレストレイド。その背中にグレグズンが言う。

「うわー、そういえば俺、この間のお礼も言われて無いし〜」

 レストレイド冷た〜い。

 なんて言葉を付け加えれば。

「――――〜〜〜〜ッ」

 歩いていた足をカツッと靴音が鳴るほどに勢い良く止めて、レストレイドが踵を返して叫ぶようにグレグズンに言った。

 

「――――迷惑かけて悪かったなッ!!」

 

 青筋ではなく顔を赤くして。謝罪なのか感謝なのか分からない微妙な言葉を投げつけて、レストレイドは足早に捜査課から出て行った。

 デスクには上機嫌な顔をしたグレグズンが残った。

 

「――…グレグズン」

「ん?よぉ、魔王」

 相変わらず書類の山に囲まれたグレグズンに声を掛ければ、へらりとした笑顔と共にそんな挨拶が告げられた。

「…一山寄越せ」

「何?手伝ってくれんの?」

「明日までに終わらせるのだろう」

 その言葉に、グレグズンが一瞬驚いたように目を瞬かせて。すぐにいつもの笑みに戻ると言った。

「そーなのよ」

 さっすが魔王☆と上機嫌に告げた友人に肩を竦めるようにして一山自分のデスクに積み上げると早速仕事を始めた。

 

「…グレグズン」

 仕事を進めて二人しかいなくなった捜査課でアルセニーは口を開いた。

「ん〜?」

「――からかうのもやりすぎると逆効果だぞ」

「…やっぱり?」

 無言で頷いて先ほど淹れた紅茶を啜った。

「魔王」

「なんだ?」

「アンガト」

「うむ」

 友人達の会話。

 

 それより少し前。捜査課前の廊下。

「あれ?どうしたんですか、レストレイドさん」

「―――――ッ」

 真っ赤な顔をして歩いてきたレストレイドに捜査から帰ってきたばかりのポプキンズが声をかけた。

 きっとポプキンズを見据えると、レストレイドが叫ぶように言った。

 

「俺はあんな奴、大嫌いだ!」

 

 それは、まるで子供が意地を張ってかのように。強情で。自分に言い聞かせるかのようで。

「は?」

 いきなりのことにポカンとしたポプキンズも置き去りに、そのままレストレイドは去っていってしまう。

 後に残ったのは首を傾げるポプキンズ一人。

          

 

 

END

* * *

えへへv
えへへへへへへへへへ(肝★)
ふっはーーーー////頂いちゃいましたよー名無しさんのグ・レ・レ・スv(そういう表現はキモイから止せ)
お話進むごとに一歩一歩進んでいってるのがなんか凄い・・・
自分、気に入ってるネタばっかでなかなか前に進まないからなぁ(滅★)
名無しさん、毎度ご提供ありがとうございましたーvvv

ブラウザバックプリーズ!

06.06.27.from :通りすがりの名無し人さん