自覚の行動と彼ら

 

 

 

 …う〜ん?

 

 捜査課のデスクに腰掛けて、首を傾げるのはスタンリー・ポプキンズ。

 最近の彼の違和感。

 なんだかおかしいんだよなぁ?

 おかしいと思うのは、同僚の二人で。

 二人というか、その片方なのだが。

 なんだかおかしい気がした。

 明確にはわからないが、しいていうなら雰囲気が。

 片や堅物。片やヤル気無し。ヤードの日常となった騒ぎの中心人物のうちの一人。

 トバイアス・グレグズンになぜかポプキンズに違和感を覚えていた。

 しかし、それは考えてもなんだかわからないので。

 仕事に呑まれて保留されていくのだが。

 

「グレグズンがおかしい?」

 廊下、並びながら歩くのはある人物いわく魔王★のアルセニー・ジョーンズ。もう一人は体育会系のピーター・ジョーンズ。

「「あいつがおかしいのはいつものことだろう」」

 二人同時に言われて、ポプキンズは頷いた。

「いや、そうなんですけど」

 なんだか違うんだよなぁ。いつもの『おかしい』と。

 そう違う。なんだかとある人物と接触している最中の雰囲気が…楽しそう?というか、

 なんだかもっと違う、柔らかいような。嬉しそうな。からかい方も前よりなんだか容赦があるようで。

「ん〜〜〜?」

 思わず首を捻りながら三人連れ立って歩いていくと、廊下の突き当たりの階段が遠くに見えた。

 向こうから死角になっていて少し見え難い角度であるその階段を、ふらふらと降りてくる姿が見えた。

 ジョージ・レストレイド。徹夜明けなのか妙に青白い顔つきで足どりが頼りない。

 うわー、大丈夫かなと思って見ていると、案の定大丈夫じゃなくて。

 レストレイドが階段を踏み外した。

「あ」

 声を上げたのはポプキンズ。

「ん?」

 眉を上げたのはアルセニー。

「あ…?」

 顔を上げたのはピーター。

 

 バタバタバタバタッ!ドンッ!!

 

 思わず立ち止まってしまうほどの音。

 生きているのかと心配になれば、三秒もしないうちに顔を顰めながらレストレイドが体を起こしていた。

「だ――」

 大丈夫ですか!?と、ポプキンズが声を上げながら駆け寄ろうとするよりも早くに、階段の上から降ってきた声。

「レストレイドぉ、生きてる?」

 途端にレストレイドの眉が嫌そうに顰められ、鋭く階段の上に向けられる。降りてきたのは、当然のことながらグレグズン。

「うるさい…、何かようか」

「いや。騒音がしたから見に来ただけ」

 さらりと言って今度はへらりとした笑みを浮かべて、レストレイドに言うグレグズン。

「それで、何時まで床と仲良しこよししてるのよ?」

「――っうるさい!」

 睨みつけるようにグレグズンを見て、立ち上がろうとするレストレイド。だが、その動きが一瞬、止まる。

「どーした?」

「…………ッ!なんでもない!」

 息を詰めるようにしながらもそう言い放って、無理やりとでもいうように立ち上がってレストレイドが言った。

「さっさと行け!」

「んー、別に俺用事ないし?」

「なら仕事をしろ!!」

「それよりお前こそどっか行くんじゃないの?」

 行けば?と言われて、ぐっと詰まったような顔になったレストレイドが。それでも怒ったように踵を返して歩き出す。

 ――片足を不自然に動かしながら。

 その後姿を見ていたグレグズンが後ろから近寄って。

 背後から、ひょいと軽々レストレイドを抱え上げた。

 ――その抱き方がいわゆるお姫様だっこという奴で。

「なッ!?」

「暴れると落ちるぞ?」

「なら抱き上げるな!!降ろせ!」

 必死に暴れるレストレイドに、余裕のグレグズンの声。

「怪我した同僚を心配して抱え上げてやった俺に、酷いねその言葉」

 レストレイ ドの意見を聞く耳は持っていないらしくそのまま、歩き出すグレグズン。

 なおも叫ぶレストレイドの意見は、はいはいと完全に聞き流して廊下をさっさと歩いていく。

 多分あのままレストレイドは医務室に連れて行かれるのだろう。

 

 そして、その一部始終を見ていた彼ら。

「……」

「……」

「……」

 思わず無言の一同。

 ポプキンズが口を開いた。

「…ええと、なんていうんでしょうか」

「……」

「なんとも言いたくねぇ…」

 口を開いたピーターの声が一番的を得ていた。

 見てしまった、わかってしまった、出来れば気がつきたくなかったが。

 三人が視線だけを合わせて、そしてぎこちなく逸らした。

「…行きましょうか」

「…仕事をするか」

「…だな」

 それぞれ言って捜査課へと続く、先ほどレストレイドが足を踏み外した階段を昇った。

 三人が思ったことはただ一つ。

 ――絶対に関わらないようにしよう。

 そしてつまりは、レストレイドがヤード一不幸な人間と認定された瞬間で。

 

 今回、ポプキンズが学んだ教訓――好奇心、猫を殺す。

 そしてこれから絶対に役立つであろう教訓。――人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ。

 

 暗黙の了解というか全員がその事実から目を逸らしたせいで、捜査課はいたって今日も平和である。

 ――気付かぬはレストレイド本人のみ。

 そして気が付く日が来るのは、まだ先の話――なのかもしれない。

 

 

 END

* * *

うえへへへv(肝★)
またまた貰っちゃいましたよ〜グレレス小話!!
今度はグレが気づいたので一方的な進展ありでしたねv
うはは〜v幸せvvv
名無し人さん、本当にどうもありがとうございました〜vvv
またいつでもドンと恋vですvvv(待て)

* * *

ブラウザバックプリーズ!

06.06.20.from :通りすがりの名無し人さん