無自覚症状の行動

 

 

 まぁ、今思うと。

「グレグズンッ!」

 ――俺の名前を呼ぶあいつの声が、妙に耳に馴染むような気がしたのがそもそものキッカケで。

 

「グレグズンッ!」

 舞うのは真っ白な書類。

 いつものこと、いつもの情景。

 ヤードの中じゃ恒例となったやりとり。

 いつもの通り書類の山を築いた俺は、高気圧の心配もよそにヤル気無くデスクに寄りかかっていたわけだが。

 寝不足でふらふらになって歩いてきた低気圧を書類の山に沈ませて。

 ――現在に至るという。

 

「グレグズンッ!お前という奴は!――放せっ、ポプキンズッ!!」

 青筋を立てて怒鳴るのは、書類の下から救出された低気圧。

「落ち着いてくださいっ、レストレイドさんっ!」

 必死になって低気圧を抑えている高気圧。そんな二人を尻目に、俺は上機嫌で紙巻煙草(ハイカラだろ?)に火を点ける。

「そー、落ち着かないと血管切れるぞ〜」

 鼻歌交じりにそういえば、ますます眉間に皺を寄せてしまいにはもういい!の叫び声と共に、

 レストレイド低気圧サマは、部屋から姿を消してしまった。

 その後ろ姿を見やって、ヒラリと手を振って俺は煙草の煙を吐き出す。

「またレストレイドさん怒っちゃったじゃないですかぁ〜!」

 言いながら書類の束をかき集めるポプキンズの方に、顔を向けて俺は言う。

「アリガト、高気圧BOY★」

「……煙草吸ってる暇があったら仕事してくださいよぉ」

「無理」

 爽快にそう告げて俺は伸びをする。

 そんな俺に呆れたように高気圧が告げた。

「大体、どうしてレストレイドさんばっかり構うんですか?」

 ただでさえストレス溜め込む人なのに可哀想ですよ。なんて言葉を告げられて。

――ん?

 さらりと俺がストレスになっていると言外に言い立てたポプキンズのセリフは、ともかくとして。

 

「…レストレイドばっかりなんて構ってるか?」

 

 フワリと紫煙を舞わせながら、そんな疑問をぽつりと口に出す。

「何言ってるんですか、あれだけ構っておいて」

「ん〜?そうかねぇ」

 まぁ、面白いし☆構うと。いや、そもそも。

「平等に構ってるつもりなんだけど?」

「平等…って」

 ピーたんも魔王も高気圧も。…いや、明らかに低気圧が多いか。

 しかしそれは低気圧が何かと俺に突っかかってくるからで、回数が多くなる…だけ?…――な、のか?

「…なんだかねぇ?」

 まぁ、そんな違和感が湧いたりして?

 

 そんな疑問がまぁ、胸中渦巻いたりして。それから数日後。

 偶々、残業なんてものになってしまった俺が気まぐれ(帰るのが面倒になった)で覗いた仮眠室。

 簡素なベッドが並ぶ中、一人薄いブランケットを掛けて寝ているレストレイドを発見した。

「うわぁお★」

 誰に言ってんだろうね、俺。

 低気圧も寝るのか(当たり前だが)

 珍しいものを見た気分になった。

 ひょいとベッドの前に回りこんで、手近な椅子を引っ張ると顔を覗き込むようにして座る。

 青灰色の髪の毛。

 白い顔。

 眼鏡は外して脇に避けられている。

 ――睫毛なげぇー。

 改めてじっくりと同僚の顔を見やる。

 普段は眉間に皺が寄せられたり、青筋を浮かべたり、何かに怒って(大抵俺だが)いる顔は案外安らかで。

 意外に幼い感じになっていた。

 ぼけっと頬杖つきながら、レストレイドの髪を片手で弄んでみたわけだが。

 …なんだか、まぁ物足りなくなった。

 瞼の下の青灰色の目が見たくなったり。

 閉じられた口から馴染みの怒鳴り声が聞きたくなったりして。

 …ん?なんでよ、俺。

 

『どうしてレストレイドさんばっかり構うんですか?』

 

 高気圧の質問。

 そしてあの時湧いた違和感も。

 なんでと考えれば。

 

「あ〜」

 なんだ、簡単だし。つーか、なんで気が付かなかったんだ俺。

 

 好きなだけじゃん。

 

 妙に納得して。少し驚いた気分になって。

 まぁ今更みたいに思いながら寝顔のレストレイドを見る。

 相変わらず規則正しい寝息を立てて、身じろぎ一つせずに眠るレストレイド。

 悪戯してやろうかとも思ったが、そんな気分になんなかったので。

 ふと目に付いた眼鏡の横に投げ出されたレストレイドの葉巻の箱から、葉巻を一本失敬して俺は立ち上がった。

 

「グレグズン!!」

 今日も今日とて、ヤードの捜査課に響くレストレイドの怒鳴り声。

 台風が過ぎ去った後にやって来たポプキンズが目の中心人物だった俺に呆れながら言う。

「もう、ま〜たレストレイドさん怒らせて…」

「そ、ま〜た怒らせちゃったの♪」

 言いながら書類の山を再び築き上げた俺に、ポプキンズの呆れた声が響く。

「どうしてまたそうやって、レストレイドさんばっかり怒らせるんですか?」

「ん〜?」

 俺はへらりと笑って言う。

 

「なんでだろーね?」

 

 そういいながら俺は紙巻煙草の箱を開ける。

 その箱の隅に一本、葉巻が入ってるのにはまぁ気付く奴はいないだろうな。

 その箱の隅の葉巻をちらりと眺めて更に笑みを深くすると、俺は珍しく書類に手を伸ばしてみることにする。

 

 レストレイドの怒鳴り声が今宵ヤードに響き渡るかどうかは、なってからのお楽しみということで。

 

 

 

 END

* * *

フッフッ腐。(怖☆)
頂いちゃいましたよ頂いてしまいましたよ。
グレレスを!!(歓喜)
こんな今し方動き出しましたみたいなカップリングに素敵話を書いてくださってありがとうございます名無しさん〜(T▽T)
えへへv元はあれども自キャラを使ったブツを頂くというのは嬉しいもんですな(デヘヘ///・肝★)
名無しさん、素敵グレレスをありがとうございました〜vvv

* * *

ブラウザバックプリーズ!

06.06.17.from:通りすがりの名無し人さん