月・・・・
そういえば、もう随分と見てないな。
月。
月で動く、人形なのに。
ぼくを操る月の糸は遥かに高く そびえていて
ぼくの視界には入らない。
黄色く輝いた夜は跳びはねるほど嬉しくて
白く輝いた夜は胸が昇華してしまいそうに切なくなって
紅く輝いた夜はなんだかドロドロしたものが体中を這い回る
その度に笑い/泣かされ
その度に狂い/踊らされ
いっぺんに与えられる苦しみと快楽に気が狂いそうになる
泥酔した頭のまま、結局は快楽の印象が強く残り
ぼくはまた月に向かって腰も頭も低くして縋りつく。
いま 月は神聖なる青を以って輝いている
神々しきそれは俗世で舞い踊るぼくをただ静かに捕らえている
いっぺんに与えられる苦しみと快楽が欲しくて欲しくて堪らないぼくは
青い青い月明かりのもと、ただただ踊り続けている。
貪欲で愚かで 狂うと分かっていながら身をゆだねようとするぼくを
月はどう思うだろう
月から細くて長い蔦や蔓がシュルシュルと垂れ伸びてくる。
ぼくの指、一本一本に。
腰骨の、ひとつひとつに。
蔦と蔓は絡まり
ぼくの意思とは関係なく、ぼくは踊らされ始める。
束になった蔓がぼくの首を締めつける。
「ううぅッ・・・・・・ア、ぐ・・・」
呼吸もまともにできなくて 苦しいはずなのに
「フフッ・・・ク、はぁ・ア、ハハ・・・・ッ」
どうしようもない悦びに、笑い続けるぼく。
月。
月明かりのもと
月のために踊り狂う
人形が 一体
月・・・・
そういえば、もう随分と見ていない
ずっとずっと踊っていたから
あなた≪月≫のために
END
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月は特別なものだと思う。
これが理由でなんでも出来てしまう
ような気がする。
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