注*「045.ギリギリ」の二人が出てきております。これだけでも読めます。
『風になりたかった』
『飛びたかった』
自殺の理由とか、そういう話でそういうことをたまに耳にすることがある。
とゆーかよくあるネタだ。
バカだなあ
本気で呆れて、溜め息が出た。
* * *
「そーゆうおまえは人のこと言えねぇだろーが。この跳び下り魔」
ちょっと目を離すとちょっとしたトコからでも落ちようとするクセによ。
ダチがじとーっとした目で俺を見る。
ハイハイ、スミマセン。
「以後は跳び下りても死なないようなところから跳び下りるよう留意シマス☆」
ピッと手のひらをダチに向けて立てるとワザとらしく誓いを立てる。
って、そーぢゃねぇだろ!!
ダチのナイスノリ突っ込みが俺の頭にヒットする。
「いってぇ・・・・・」
「自業自得だバカ」
ふんっとダチが鼻を鳴らした。
大学から歩いて帰る途中、そんなよくあるネタで自殺したヤツがいるという話になった。
俺が「バッカみて」というコメントをのたまったため、ダチは人のこと言えるかと俺を非難したのだった。
ダチの非難の理由は俺の少々厄介なクセを示してのことだ。
何処でもいい、何処からでも、自己判断で跳び下りたいと思ったところから跳び下りてしまう、そんな変なクセ。
でもこれがすげぇ問題で。
ちょっとした段差から跳び下りてんだったらまだいいけど、
ビルの屋上とか、そんなとこから落ちたりしたらそれでもうこの世からアウトものだろ?
しかもまんま落ちてこうとするから、ちょっとした高さから落ちたにしても俺の場合危なかったりする。
で、高校の頃から付き合いのあるコイツがなんの縁あってか知らねぇけど、事あるごとに止めてくれてるってわけ。
・・・・まあ、巻き込んじまったりすることもあるし、申し訳ないとも思ってるんだけどよーーー
「でもよ、てぇことはおまえって風になりたくてとかで跳び下りてるわけじゃないワケか?」
「ああ?」
いきなり話をフラれて反応が遅れた。
聞いてろよな、と不貞腐れたあと
「だから、おまえって風になりたくて跳んでるわけじゃねぇのかって」
そう言ってもう一度聞いてきた。
「うん。違うよ──俺は飛びたいんじゃなくて、堕ちたいんだから」
だから、風になりたいわけでもねぇな。
言うとダチはふうん、とだけ返した。
「なんつーかな・・・最近分かってきたんだけど、高けりゃいいってもんでもなくて・・・」
ただ、落ちると同時にスッと力を抜くあの感覚が好きで
あのまま終われたら最高だろうと思ってるだけ
だから俺はいつも足から落ちていく
スッ、と。
そうだ
自分は堕ちたいのだから、なにも高度のある場所からでなくてもいい。
そう、自分にとって最も理想的なのは・・・・・
「穴、か・・・・・」
「穴ぁ?」
キイの上がった声でダチが「はぁ?」という顔をしてこっちを見る。
「うん、そうだ、あなあな。俺の理想は穴だな。つってもバカでかいのも底が見えるのも却下だな。
底のほうは真っ暗で見えなくて、大きさは人ひとりすぽーんと落ちていけるぐらいのがいいな、うん決定」
なにがだよ、とダチが頭を小突く。
「・・・マンホールとか?」
「おおッ、それそれ!まさにそれ!あーでもマンホールって底見えねぇかな?」
うーん、と頭をひねって考え出す俺に、ダチがゲンナリした顔ではあーーーーっとふかーい溜め息を吐いた。
「んなもんマジに考えんなよ・・・・てゆーか、」
フッと視界が陰ったので、ん?と思って顔を上げると、
「すこしはオレの苦労を労うことも考えろッッ!!!」
ゴンッ♪
容赦の無いストレートパンチが俺の顔にクリーン・ヒットした。
* * *
「まあ、ひとまずおまえが居なくなったら何処を捜せばいいかの目星はついたか・・・・・」
「んあ?」
「とにかく、『穴』と呼ばれる場所を捜しゃいいんだろ?」
死体なんか捜したくねぇけどな、前を見たまんま、ダチが言った。
「・・・・そうならないよう、善処いたしマス☆」
死にたくて落ちたいわけじゃねぇから
そう言うとダチは「是非そうしてくれ」とカラカラと笑った。
『落ちてそのまま終われたら』
なんて考えていたと言おうものならもう一発お見舞いされてただろうな。
ダチと一緒になってカラカラと笑いながら、俺はふとそんなことを思っていた。
END
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気に入った設定&ふたりだったのでまた登場させてしまった^^
さりげにまだ続けたい気分なのでこの二人の話はたぶんまた書きます(笑)
そろそろ名前を付けてあげたいお年頃v(��何ッ?!;)
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