わたしのこいびと。

こいびとは、死。

 

 

嘘だと思うかもしれないけれど本当なのよ

わたしの恋人はね、『死』なの。

 

じゃあおまえは死と手をつないで歩いたりイチャついたりしてるのかって?

 

そんなことはしないわ

死はとっても寡黙な人なの。(人じゃないけど)

それに死はいつ・どこにでもいるというわけじゃないの。

 

わたしの場合はそうね、『階段』ね。

ほら、階段ってたいがい踊り場を挟んで二段階になってるでしょう?

まず、一段階。踊り場まで降りて、手すりを中心にして半回・・・・・・・

 

そうすると、ちょうど階段の終わりにいるの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼ったら、ほんとうに寡黙なのね。わたしを見上げても、なんにも言わない。

ただ、両手をおおきく広げてこちらに差し伸べてくるの。

そうしてやっぱり、なんにも言わない。

ただただ、わたしのほうを見て、両手をひろげて待ってる。わたしのこと。

 

もう何度、そうして待ってくれている彼の横をとおり過ぎたことか。

見えないふりをして、こらえて、耐えて、階段をおりていったことか。

 

 

 

 

 

 

 

ごめんね

 

 

 

 

 

 

待たせてごめんね

無視してごめんね

・・・・・ごめんね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんとは、ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは両手をおおきくひろげて、下にいる彼に向かって差しのべた。

ゆっくり上体をかたむけて、わたしは堕ちていった。

 

愛しくも、目を背け続けていた。

 

 

 

 

 

 

死へとむかって

 

 

 

 

 

 

愛しい人/わたしのこいびと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいびとは、『死』。

 

 

END

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自分はどーしてこうも悲恋が好きなのか。

てゆーかこれ当てはまるお題が結構あるような^^;

でも、かなしい愛こそ美しい。

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