「今年もよく晴れたわね」
縁側でうちわを仰ぎながら、梅露はぽつりと呟いた。
その視線の先には飾りの付いた笹を見上げるヒヲムシ姉弟の姿。
そして彼女の傍らには柳凪介が柱に寄りかかり、だらしなく胡坐を掻いている。
これが四人の、常の七夕だった。
毎年毎年繰り返される。
去年も一昨年も
そして今年もまた同じように。
長い長い習慣だ。
きっと一年後───来年もまたこうして。
「今年で最後になるかもしれねんなぁ」
ぼうと庭を眺めていた柳凪介がぽつりとそう呟いた。
すぅっと梅露の視線が柳凪介に注がれる。
柳凪介の目は、まだぼんやりと庭の方を眺めていた。
はたして、庭だっただろうか。
彼が眺めていた先は───
それは
それは何の前触れも無い、未来ではなかっただろうか。
否。
未来ではまだ希望が含まれる。
訂正しよう
訂正しよう
そう、それは────
「今年で最後になるかもしれねんなぁ」
もう一度、柳凪介が呟いた。
いつもなら梅露の一喝の下に柳凪介が張り倒されるのだがそうはならず。
梅露はただ茫然と、手の中のうちわをゆるゆると動かしていた。
四人で過ごすのはこれが本当に最後となった
ある年の七夕の夜。
本当にそうなってしまった───
だから訂正しよう。
これは───結末なのだと。
* * *
これもブログから。
切なくないこいつらも書きたい(笑)
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