───今日は七夕だ!!
いきなりバタンと扉を開けるや否や、ジムがそう言ってきた。
───タナ──何?
扉を開け放つ音に遮られて、よく聞き取れずに聞き返す。
───七夕!これ短冊!願いごと書いておけよ!!
一方的に言い置いて、バタバタとバーネットは出て行ってしまった。
後に一人残されたベシューは、途方に暮れてタンザクとやらを拾い上げる。
「願いごと・・・・?」
彼の言う『タナバタ』とやらがどういう代物なのかちっとも知れなくて、首を傾げるしかなかった。
「要するに、星のお祭りか」
夕暮れ、何処から手に入れてきたのか、鼻唄を歌いながら笹に飾り付けをしていくジムを見上げながら呟く。
そういえば今日は空が明るい。
月の無い夜なのに、星の光でも充分に明かりが取れた。
「君も結んで付けとけよ、短冊」
「ああ、うん」
言われて短冊を低い枝に結びつける。
そこでふと、笹の葉に混じって所々にある短冊に目を止める。
「・・・・ジム」
「ん?なんだ?」
「偽名使って複数の願いごとを懸けるのは止せ・・・・」
そこにあったのは彼の使用した偽名の数々───
8番目の男で有名なデジレ・ボードリュ、ドン・ルイス・ペレンナ、
ジャン・ダスプリにラウール・ド・レジメイ・・・もっとよく見れば『アルセーヌ・ルパン』なんてあるから堪らない。
「こんなの誰か通りかかったヤツにでも見られたらどうするんだ!!(怒)」
「誰も本気にしやしないさ。ただのお遊びだと思うだろうよ」
ジムはへらりと笑って相手にしない。
まったく、頭が痛い。
ベシューはくらくらと眩暈を感じた。
顰め顔でちらりと笹を見ればそこにはやはりというか『ジム・バーネット』の名もあった。
「・・・でも君がキレ者の名探偵だってことは皆知ってる・・・・」
バーネットは探偵の時もルパンのときのような皮肉を忘れない。
悪漢にして正義漢を名乗るルパン。
皮肉屋で切れ者、解決できない事件は無いバーネット。
もしやと思う輩もいることだろう。
浮かない顔のベシューに、ジムがにんまりと笑う。
「心配?」
「・・・べつに」
むすっとした面持ちで言い放ち、戻ってゆくベシューの背に、ジムの嬉しそうな笑い声が降りかかっていた。
* * *
ブログに上げたものです^^
BBでほのぼのっぽいのもそう無いよなぁ(苦笑)
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