何を謝ることがある。
僕は独りだった。
きみがいなくなっても
独りに戻るだけさ。
『孤独の帰還』
ベッドに横たわった彼が言う。
ごめんね、と。
何を謝ることがある?
これは皆が平等に味わう別れ。
君は何も不義などしていない。
なのに、きみは言う。
ごめんね、と。
「何も謝る必要など無い。
僕は独りだった。
君が居なくなっても同じこと。
また独りに戻るだけさ」
僕がそう言うと彼は眉を寄せて哀しげな顔になる。
そしてまた言う。
ごめんね、と。
僕はそれに少し苛立ちを覚える。
「謝る必要なんか無い」
苛立ちをそのままに、少し強く彼の手を握り締める。
力の入らない、されるがままの彼の白い手。
ごめんね
何度目かになるその言葉は、唇が薄く動いただけで音になることはなかった。
「謝るくらいなら、こんな寒い中見舞いになんか来なきゃ良かったんだ」
僕が体調を崩したという報せを受けてわざわざ汽車で駆けつけた君。
いまは防寒対策の疎かだったその安い列車がいっそ破壊してしまいたいほどに憎らしい。
こちらに着く頃には、彼の方が体調を崩してしまっていた。
それとは対照的に、僕の方は全快した。
そして。
「あとひと月もすれば。あとひと月もすれば君の誕生日だったろうに」
前触れなんて何ひとつなかった。
今年もまた君の生まれた日を祝って。
それで年の終わりがやってくるのだろうと。
握っていた手が重くなる。
もう手放せ、ということか。
こうしてただ、横たわり眠っているだけなのに。
もう二人の間には思いを伝え合う術は無い。
これからはただ一方的に思うだけ。
残された者だけが。
僕だけが。
「いいさ。皆僕の前から居なくなるんだ。きみも居なくなるがいいさ」
触れ合った記憶も無い父。
病に冒された優しい母。
心の底から愛した女達。
いとおしい娘と息子。
ずっと傍に居てくれた婆や。
そして唯一の朋であった君。
「いいさ。そうさ皆僕の前から消え失せるんだ。きみもそうなるがいいさ」
そして僕は独りに戻る。
何も特別なことは無い。
今までもこれからもそれは同じ。
平気だ。
「そうだ・・・みんなみんないなくなればいいんだ・・・・・ぼくは平気なんだから・・・」
窓硝子は寒さに白く曇っていた。
もうじき、外は雪になるだろう。
きみの誕生日までにはまだ
小春に温かくなる日もあっただろうに
昏(こよ)みを迎えた部屋で
静かに嗚咽が響き始めた。
END
おかしいな。
何故かルパルブでルブ死にネタができてしまった;;;
いっぱい危険な冒険してるルパンの方が死ぬ確率高いですが(実際死亡説何度も出てるし)
順調に生きたらやっぱルブが先立つんだろうな・・・。
ちなみにルブが死んだ経緯は本当。
体調を崩した息子を見舞う為に防寒の利かない列車に乗っていったら自分が体調崩してそのまま息子夫婦に看取られ永眠。
彼らしいと言えば彼らしい。
泣いて笑ってしまいたいくらいだ。(ぐすっ)
ブラウザバックプリーズ!
08.03.02.TOWEL・M