おれがアイツになれればどんなにいいことか!
そしておれは『それ』を実践する。
闇への招待
この世に産み落とされたときはとかく自由の利かない体に苛立った。
いままで表に放出されることの無かったジキルの悪は一度も使われていないが故に奇形となって我が身に現れた。
はじめて鏡で見た自分の姿ときたらそれはそれは弱弱しく、チビで、醜悪だった。
奇形の残る今の体だって、最初の頃に比べれば随分マシになった方だ。
ハイドという名前は自分で名乗ったのだったろうか。
いや最初の頃はおれにはまだジキルの意識の方が強かったから、考え名づけたのはきっとジキルだろう。
エドワード・ハイド。
いつ名づけられたかとんと見当つかないが、ともかくそれがおれの名前になった。
ジキルの言う快楽ときたら本当に雀の涙程度のもので、たったそれっぽっちのことを自由にしたいが為におれを呼び出したというのだから
なんてさもしい男だろうと思った。それくらいならジキルでだってできる。おれはジキルに新しい楽しみを教えてやることにした。
それは醜悪な悪。善人として過ごしてきたものならば誰もが憧れる、しかしいざ目前にすれば恐怖に慄く完全な悪行。
最初の頃はそれをお気に召していたお医者博士だったが、エスカレートするその行為にだんだんと泣き叫ぶようになってきた。
おれもそんなヤツがだんだん面倒くさくなって、喚くジキルをほっぽって夜の街を遊んだ。
しばらくの運動と食事をたっぷり摂ったおかげでおれはだいぶ背が伸びた。(それでも周りの紳士に比べれば小さかったが)
血色はそんなに良くならなかったが、それでも以前よりは体の中を血が多く流れている感じがした。
そんなある日のこと、事件が起こった。
ジキルとして眠りについた夜、目覚めると薬も飲まないのに勝手におれ──ハイドになっていたのだ。
そのときのジキル(の意識)の慌てようと言ったら無かった。
顔からは完全に血の気が引き、なんとか薬でジキルに戻った後も食が喉を通っていなかった。
だがおれは平気だった。
何故ってジキルの知らないところで、『それ』はもう起こっていたからだ。
ねぇジキル、おまえは知らなかったのだろうけど。
君が寝付いてから君の髪が徐々に青銀に変っていくのに気づかなかったかい?
君は 眠 っ て い る の に 君の体が起き出して、衣服を羽織っていたのを。
振り向いたその ジ キ ル の 顔 に はまっていた目が赤と金のオッド・アイだったのを。
本当に気づかなかったんだね。
おれがおまえの体のまま出てきて、夜の倫敦を歩いていたことを。
実はもう随分と前から行われていた主の交換。
おまえが呼び出してくれない夜は
おれが自主的におまえに滲み出た。
奇形の無い成熟した体は実に動きやすかったぜ?
もうおれはジキルのまま出てくることが出来る。
おまえの善意など、あと一口三口で食い潰すことが出来る。
おまえにはもう本当におれの隠れ家になるしか残されていないわけだ。
それなのにまだ自分に支配権があると思ってジキルになるかハイドになるか秤にかけているのかい?
おれはそんなジキルが少し哀れになった。
いや、本当にほんの少しだが。
それも瞬きの気まぐれのことで、次の瞬間には頭から掻き消えていたが。
さあ今夜は銀髪のジキルとハイド、どちらの姿で出かけよう?
おれはケラケラと笑ったが、その笑い声がジキルに届くことは無かった。
王よ。バビロンの王よ。
バビロンの宮殿に住まう王よ。
おまえはそのまま宮殿の中に住まうがいい。
面倒なことなど、摂政にでも押し付けて。
おまえだって、所詮擁立させられたに過ぎぬのだから。
END
キャラの語りって独白になっちゃうので小説的にはあまり面白くないんだよなと分かってからなるべく独白にしないようにしているのですが
でもやっぱりキャラの内を考える上で必要だしなとも思うわけで。つまらないかもしれませんがハイドくん独白。
ハイドくんが生まれてから現在(1888年・リパらとすでに同業知人)までをダイジェスト。
現時点の時間軸ですでにジキルとハイドの出現率は1:9くらいです。もうほぼハイドくん状態。
ジキルの姿のままハイドになるか(髪と目の色のみ変化)、完全に変身!(笑)してハイド自身の体躯になるかはハイドのそのときの気分次第。
ハイドの思うままですね。ジキルお城に閉じ込められたお姫様状態v(ぇ?)
しかしジキルのままハイドになれるとするとジルドレの反応が気になるな。
ジキル姿のハイドならOKとか。(おいおいおい)
あ、ウチのジキルとハイドは現時点ですでに薬服用しなくても入れ替わり可能です。末期症状まで来てるので(笑)
ブラウザバックプリーズ!
07.07.27.TOWEL・M