犯罪者を庇護するロンドンの夜。
しかしときに夜は犯罪者を交錯させる。
night.
「♪」
真夜中。
鼻歌を歌いながら屋根の上を駆けていくのは娼婦たちを震え上がらせる“ 切り裂きジャック ”。
今夜も女を手際よく仕留めて上機嫌だ。
ああ、今夜は月も糸のように細い。
なんだか気分が高揚してくる。今夜はこのままロンドン中を駆けまわっていようか?
切り裂きジャックは血の臭いと己の手際の良さにすっかり陶酔しきっていた。
「・・・しつこいなぁ」
真夜中。
辟易した様子で屋根の上を駆けていくのは“フランスの大怪盗ルパン”。
仕事はうまくやり終えたものの、今夜に限って警官たちがしつこく追いかけてくる。
英国を代表する探偵もあいにく留守で身を潜めることができない。
今夜は月も細すぎる。
せっかくの金糸も光を充分に弾けなくて萎れているような気がする。
ああ今夜はついてない・・・
うなだれて次の屋根へと飛び移ろうとした瞬間、体が軽くなった感じがした。
「ッ・・・・・」
あるはずの屋根がずっと下に見える。屋根の高さが変わったのだ。
体勢が整わない。
ぶつかる!!
ギュッと目をつむって、迫り来る衝撃に備えた。
「お?!」
───ガシィッッ
「・・・・・?」
想像していた叩きつけられるような衝撃は無く。
わかるのは支えられる感覚と聞こえてきた誰かの声。
そろりと目を開けると目の前に紅い双眼が煌めいていた。
「今夜はホント好い夜だな。金髪の女が落ちてきた」
「男だよッッ!!!!(怒)」
どうやら自分は抱きとめられてたらしい。
こちらを覗き込んだ相手に開口一番の間違いを力いっぱい否定すると、相手は「おわっ、生きてた」などと呟いた。
「タナボタだと思ったのになー。やっぱそこまでイイコトないか」
暗いせいでよくは見えないが、この男───目と髪が、鮮血のように紅かった。
「初対面なのに失礼なヤツだな!お前いったい・・・・」
結果的に助けてもらったことも忘れて食ってかかろうとしたとき。
ザワザワとざわめく人の気配を感じた。
「あっ・・・!!」
「なんだ??」
マズイ、と逃げ腰になったとき。
対照的に隣の男が唇に弧を描いた。
まるで今宵の月のよう。
ゆっくりと、抱きとめられていた体が下におろされる。
ここにいろよ、と告げると同時に男はスゥと取り出した仮面をかぶった。
哂い顔の仮面。
「おい・・・?」
こちらの声など耳にも入っていないのか、そのまま軽く屋根を蹴って舞い降りる。
ごきげんよう諸君。
今宵は好い夜だね。
そして路上の舞台は警官たちの鮮血で染まった。
「よっと」
軽い調子で、男は再び屋根の上に戻ってきた。
「・・・・・・・・」
「?、なんだ??」
訝しそうに見てくる青い目に、紅い目がきょとんと返す。
「や、なんでも・・・・・」
「ふーん?」
屋根の下を見下ろせば暗い闇の中にも紅い海が見て取れた。
殺しは嫌いだ。
今夜は本当についてない。
苦々しい思いで唇を咬みしめると顔を伏せた。
「んじゃ行くか」
「あ?ああ・・・ってちょッッ??!」
いきなり自分を横抱きに抱え上げるとそのまま男は屋根の上を走り出した。
「オマエ、探偵のトコに出入りしてるヤツだろ?」
「え?」
「おれ、今夜は機嫌イイから送ってやるよ」
「あ、いや・・・・先生は今日はダメで・・・・(ってこの言い方なんかイヤだな)」
「ふうん?んじゃあしょーがねーなぁ・・・・・・おれのトコ行くか、うん」
「うん・・・・ってちょっと待て!!なんで見ず知らずのお前にお持ち帰りされなきゃなんないんだよ!!」
「気にすんな。縁だ、縁」
「気にするわ!!(怒)」
結局その夜は何故かソイツのところに持ち帰られて。(何も無かったけど)
後日先生のところでお茶をしたとき何故かは知らないがそこに居たので(そこで初めて切り裂きジャックだと知った)
とりあえず助けてもらったし、形ばかりの礼を言っておいた。
先日はどうも。
END
* * *
イラストにおまけで付けてた話を少し直して再アップ。
ルパンは初期の頃と今とでは多少キャラが変わっているので
今見るとうわぁおと思ってしまう(笑)
あー19世紀メンツ全員絡ませたいな。楽しいから(笑)
ブラウザバックプリーズ!
07.02.22.TOWEL・M