その花は奇妙に造り物めいていた。

 

 

 

『贋花≪レプリカ≫』

 

 

 

パチン。

庭に出ていたモーリスが、花を一輪手に戻ってきた。

花、といえばこの庭では一種しかない。

「生けるんですか?」

彼の足元で、ちょこちょこと動くのは好奇心の絶えない少女。

モーリスは無言で少女に肯くと、一輪挿しにその花、紅色をした薔薇を挿した。

「はじめて見るお花です」

首が痛くなるのではないかというほどに顔を上げ、少女はモーリスを見た。

「ああ・・・新種だ。綺麗だろう、偽物みたいで。」

 

確かに、その花は薔薇らしくない薔薇だった。

 

花弁ひとつ取っても生気が感じられなくて

けれどべっとりと張り付いた紅は存在感を放っていて

些細なことでもボロボロと散ってしまいそうに見えた。

 

生きていると言うにも、花と呼ぶにも、その存在はあまりにも奇妙すぎた。

 

「なんだか・・・なんだか・・・・」

薔薇を見つめたまま、少女がモーリスのスラックスの裾を掴む。

「・・・芳黒?」

ふ、と少女の名を呼び、モーリスの目が不安げな顔を捉える。

 

「なんだか、こわいです・・・・・」

「・・・・・・・・」

「お花なのに、お花じゃないみたいです」

「・・・・・・・・」

「生きてるのに、生きてないみたいです」

 

 

そうだな。

 

光か影か

生か死か

 

はっきりしないものは、怖いな。

 

 

「・・・・・こわい、です・・・・・」

「・・・・・そうだ、な」

生けられた薔薇に向かって、モーリスの手がスウッと伸ばされた。

 

 

そう言うお前はどうなんだい?

 

 

「・・・・・・・・」

「あ、」

ほんの少し、指先が触れたかと思った瞬間に、薔薇の花はポロリと落ちてしまった。

椿のように、ポロリと。

転がり落ちたそれは、床に着く頃までには予想通り花弁がボロボロと取れてしまっていた。

 

カサカサと、生けるものらしくない乾いた音を立てながら。

 

「お茶にしよう」

そっと芳黒の頭に手を置いて、促す。

「あっ・・・はいっ♪」

そのまま、その場所を後にする。

 

 

そういうお前はどうなんだい?

 

そんなにも空ろで

ほんとうに『生きている』つもりなのかい?

 

似ているから、惹かれたのだろう?

似ているから、創ったのだろう?

わたしを。

 

 

「そうかもしれない」

「はい?」

突然の言葉に芳黒が小首をかしげた、が。

「・・・・なんでもない」

珍しく浮かべたモーリス自身の曖昧な微笑によって、亡きものにされてしまった。

 

 

庭に向かって放たれた窓から吹き込んできた風が、奇妙に造り物めいたそれを遊ばすように転がしていた。

 

 

 

END

* * *

意味なし・山なし・落ちナシ。
チャットでモーリスが有名じゃないのは影薄いからとか出たので(自分で言ったくせに
若干それに絡んだ感じな話を。
つか、リハビリ・・・?最近二次小説がメッキリですいません;
モーリスは生きてんだか死んでんだか分かんない感じでいいよ(ぇ?)
こんなん書いててもやっぱモーリス好きだと再自覚できんのがフシギだ☆

* * *

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