『 ふたりで泥棒を 』

スリルという名のふたりのゲーム。

ある夜ホームズと共に夜会に招待された。

女性たちはそれぞれ皆着飾り、男性陣もそれぞれ夜会服を着こなしている。
私はしばらく周囲のそんな様子に目を奪われていたが、
ふとホームズがどこか一点に厳しい目を向けていることに気がついた。
その視線を辿ってみると、男女問わず大勢に囲まれている二人の青年紳士に行き当たった。

そこはいちばん話に華が咲いているように見えた。
一人は黒髪で背の高いスポーツマンタイプの男で、ほとんど彼が話題を盛り上げているようだった。
もう一人は金髪の、体の線の細い男で、前者の隣にそっと控えていた。

「ホームズ、あの紳士たちがどうかしたのかい?」

視線を隣に戻し、ホームズの顔を見上げる。

「・・・あの二人はね、いま英国中で話題の盗賊だよ」
「は?!」

思わず上ずった声を上げてもう一度彼らに視線を移した。
二人は人の輪を離れ、談話を楽しんでいるようだった。
その姿はごく普通の、感じの良い紳士そのものでとても彼らが犯罪者のようには見えなかった。

「ぼくにはとてもそうは見えないけど・・・何かの間違いじゃないのかい?」
「隣の金髪の彼はどうだか知らないがね。あの黒髪の紳士にはいろいろと不信なところがあるのさ」

厳しい眼差しのままのホームズを見、彼らを見──息を呑んだ。
黒髪の青年紳士の目がこちらを捕らえ、ニヤリとその口元を歪めていた。

***

「ラッフルズとバニーだ」
「?」

目を眇め『チッ』と舌打ちをした友人を見た。

「だれ?」
「ラッフルズとバニー。最近このロンドンで知れてる盗賊さ」

彼の視線の先には黒髪と金髪の男が居た。
スポーツマンタイプと自分と同じく文学系タイプの、まったく正反対な組み合わせだった。

「おもに動いているのはラッフルズ──黒髪の方らしいがね」

英国における僕のようなものさ。
彼がフンと鼻を鳴らす。
私は彼の言う黒髪の男をしげしげと眺めた。

「・・・おまえより紳士っぽいじゃないか」

ガンッ

隣に居た友人は背を預けていた柱に思い切り頭をぶつけた。
以下、小声で。

「(もーりすぅううううそんなこと言わないでよぉおおおおおお/涙)」
「(・・・これがヨーロッパ全土を股にかける怪盗かと聞かれたら誰もが向こうを支持するだろうな)」
「(ううううううう〜〜〜〜〜ッ)」

やれやれと溜め息を吐きながらよしよしとぶつけたところを擦ってやった。
最近ロンドンで名が売れているという盗賊は、どこかを見ながら妖しい微笑を浮かべていた。

***

「さっきはどうかしたのかい、ラッフルズ」
「ん?」
「どこかを見て笑ってたじゃないか」

僕がそう言うとラッフルズはただ黙って微笑んだ。
彼がこんな心の底から滲み出すような微笑みを浮かべるときは彼の中で何かが始まっている証拠だった。

「・・・今夜は我々にとってもっとも重要で、もっともスリラーな夜になりそうだよ、バニー」

ラッフルズのその言葉に、僕は僕たちの冒険の幕が突如として上がったことを知った。
長い長い夜が、いま始まった。

***

三つ巴戦線なんて面白そうじゃないですか。
ルブさんは普段こんな現場に居ないんですけどね。
ルパンと一緒に休暇で来た、みたいな感じで。

ラッフルズとバニー外観、これで決定で。
ラッフルズが初期設定からえらい変わりましたが(笑)
初期設定はどちらかと言うとスポーツマンを意識したものだったので。
本編を読み込むうちにこの黒髪ラッフルズがもやもやと浮かんできました。
バニーはけっきょく初期設定のままです。
髪はどうも長いみたいですが髪は伸び縮み(←?)するものなので良しとします^^

ブラウザバックプリーズ!

06.09.01.SUISEN